2018 Fiscal Year Research-status Report
全国的大規模手術データベースを利用した小児内視鏡手術の有効性に関する研究
Project/Area Number |
16K11340
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤代 準 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60528438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石丸 哲也 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (00633629)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ビッグデータ / 小児内視鏡手術 / 周術期合併症 / 急性虫垂炎 / 先天性嚢胞性肺疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では全国規模の手術データベースであるNational Clinical Databaseデータを用いて、国内小児外科施設における小児内視鏡手術の有効性の検討を行うことを目的としている。当初計画の最終年度である2018年は急性虫垂炎に関するプロジェクトと先天性嚢胞性肺疾患に関するプロジェクトを行い、以下の成果を得た。 本年度は国内小児外科施設における急性虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術と開腹の虫垂切除術を検討した。リスク調整を行った多変量解析の結果、術後30日以内の総合併症発生率の検討では、複雑性虫垂炎(壊疽性虫垂炎/穿孔あり/膿瘍あり)、施設の年間小児急性虫垂炎手術例15以下、が有意な危険因子となった。年齢や腹腔鏡手術は術後合併症の有意な因子ではなかった。上記成果について、国内外の学会にて発表するとともに、英文論文として投稿し、acceptとなった。 更に、合併症頻度が高い小児複雑性虫垂炎について、手術時のドレーン挿入が術後アウトカムに与える影響について検討した。Propensity-score matching を用いたリスク調整の結果、手術時のドレーン挿入は総合併症発生率や腹腔内膿瘍発生率を低下させないこと、創部合併症を増加させること、術後在院期間を延長させることを明らかにし、その成果を国際学会にて発表した。 NCDデータを用いた先天性嚢胞性肺疾患の至適手術時期に関する研究計画を立案し、日本小児外科学会から研究利用の承認を得た。現在、施設の倫理委員会にて審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記急性虫垂炎のプロジェクトについてはおおむね順調に経過している。追加解析を行ったため、今後はその成果発表を行う予定である。 急性虫垂炎以外の検討については、NCDデータの研究利用許諾権限を有する日本小児外科学会において研究利用の制度変更があり、審査、承諾に時間がかかったため、若干計画が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
小児急性虫垂炎に関するプロジェクトは、得られた成果を学会発表、論文投稿の形で公表する。 先天性嚢胞性肺疾患に関するプロジェクトについては、日本小児外科学会からのNCDデータの研究利用の了承を得ているため、近日中に承認が得られる見込みの施設の倫理委員会の承諾を待って解析、研究を推進する。
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Causes of Carryover |
理由: 急性虫垂炎に関するプロジェクトにおいて追加解析を行ったため、成果発表などに関する必要経費を翌年度に持ち越すこととなった。嚢胞性肺疾患に関するプロジェクトでは当初予定していなかった施設の倫理審査を求められたため研究実施が翌年度になり、その経費が持ち越された。尚、上記に伴い、研究期間を延長することとなった。 使用計画: 研究解析・意見交換・成果発表のための旅費や物品費として使用予定である。
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