2018 Fiscal Year Annual Research Report
Histochemical analysis and modification of the natural healing process of the large defect of rabbit trachea.
Project/Area Number |
16K11343
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
窪田 正幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50205150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 康伸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40334669)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気管欠損 / 気管再生 / 治癒機構 / ラパマイシン / ソマトスタチン / 肉芽形成 / mTOR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、家兎気管大欠損モデルを用いて気管修復機構の解明を行い、それに関与する調節因子を選択的に修飾することで治癒過程を修飾し、肉芽や瘢痕のない治癒機転確立を目的とする。 研究の初年度(平成28年)は、気管開窓部の免疫組織学的検討を行い、肉芽形成が1週目に75%に形成され、2週目に気管上皮再生が100%完成し、3週目に肉芽が消失し治癒過程が完了することから、以後の実験では、2週目の状態で薬物効果の判定を行った。 研究2年目(平成29年)は、組織障害因子であるTNFαの阻害効果を検討した。抗ヒトTNFαモノクローナル抗体と、成長ホルモンの分泌を低下させることで間接的にTNFαの分泌を低下させるソマトスタチンの単独投与を行った。抗ヒトTNFαモノクローナル抗体投与群(A群:3mg/kgを1時間で静脈内投与し2週後に気管開窓)とソマトスタチン類似作用化合物投与群(B群:30μg/kg筋注し4週後に開窓、開窓時に50μgを皮下追加投与)では、両群ともに肉芽形成は抑制されるものの、A群では局所炎症細胞浸潤と炎症組織が開窓部に発生し、免疫抑制効果による易感染性が惹起され、B群では、75%に気管内出血という重篤な副作用が発生した。 そこで、研究3年目は、投与量を減量するため2剤の併用効果を検討し、ソマトスタチン類似作用化合物(前年の半量)とラパマイシン(細胞内mTORシグナル活性を抑制し肉芽形成を阻害する;0.5 mg/kgを開窓1週後より隔日3回投与)の併用療法を試みた。併用療法では、肉芽の発生はなく、ラパマイシン単独投与で認められた気管上皮再生率の低下やソマトスタチン単独投与で認められた気管内出血もなく、重篤な副作用の発生はなかった。2剤を併用することで、副作用の発生を抑えた、肉芽形成のない気管上皮再生機構修復が可能と結論され、薬剤による安全な治癒機転修飾が可能と結論された。
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Research Products
(12 results)