2017 Fiscal Year Research-status Report
共焦点内視鏡によるヒルシュスプルング病の腸管神経可視化システムの確立と臨床応用
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16K11354
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下島 直樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (30317151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤ヶ崎 純子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (60312021)
炭山 和毅 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90385328)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腸管神経 / 可視化 / 共焦点内視鏡 / ヒルシュスプルング病 |
Outline of Annual Research Achievements |
共焦点内視鏡を用いて、ヒト腸管神経の可視化の研究を進めている。初年度となる平成28年度は手術にて摘出された腸管検体を用いて、ヒルシュスプルング病およびコントロールそれぞれで観察を行い、どちらにおいても腸管神経や外来性の神経線維の様子をとらえることに成功した。ヒルシュスプルング病11例、コントロール11例についてCLE所見と病理所見の比較を行い、正診率、感度、特異度はそれぞれ、ヒルシュスプルング病で90%、83%、95%、コントロールで86%、92%、100%であった。 2年目である平成29年度は摘出検体ではなく生体内での観察を行うこととし、ブタを用いて生体内での観察を行った。これまで2度に渡り、ブタを用いた生体内観察を行っているが、きれいに腸管神経系を可視化するに至っておらず、原因の考察と今後の工夫が必要な状況である。 最終年度となる今年(平成30年度)は、当初の計画ではヒトの生体内での観察を掲げていた。大動物で生体内観察がまだ不確かな結果しか出ていないが、ヒト生体内観察についても実施計画書を作成し、院内の倫理委員会にかけている。使用する蛍光色素がヒトに対しては未承認であるため、観察部位を切除予定の部分に限局して行うなどの工夫をしている。現在、条件付き承認の状態であり、今後、倫理委員会の承認を得た時点でヒト生体内観察を開始する準備は整いつつある。今年度中にfirst in humanとしての腸管神経可視化にトライしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度はヒト腸管摘出検体を用いてCLEによる腸管神経の観察を計画し、コントロール、ヒルシュスプルング病のいずれにおいても精度の高い結果を得た。コントロールデータはすでに論文化し(Kobayashi et al., J Gatroenterol Hepatol, 2017)、現在ヒルシュスプルング病のデータをまとめて投稿予定であるが、時間がかかっている。 また、2年目は大動物を用いて生体内観察をする計画であり、これまでに2回の観察を施行したが、再現性をもって腸管神経が観察されているわけではない。今後、生体内観察を可能にするための工夫が必要であり、実験を積み重ねていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
大動物のブタ生体内観察を再び計画し、蛍光色素の注入量、濃度、投与方法などを工夫し、至適な観察条件を探る。 ヒト生体内観察については、実験計画を立て、院内の倫理委員会条件付き承認で通過したものの、使用している蛍光色素のcresyl violetがヒトに対しては未承認薬であるために、今後は特定臨床研究としての承認を得る必要がある。 一方、アイディアとしては神経が発している自己蛍光物質をとらえることができれば蛍光色素を注入する必要が無くなるので、ヒトの生体内観察には理想的である。自己蛍光物質の探索にも目を向けて計画を進めていく所存である。
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Causes of Carryover |
【理由】本年度の研究が順調に進み、当初の計画の目標が予定予算内で達成出来たため、次年度に繰り越した。 【使用計画】大動物実験の追試および、臨床研究を開始するに当たって、保険に入る必要があり、その経費に相当額が見込まれる。
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[Journal Article] Technical feasibility of visualizing myenteric plexus using confocal laser endomicroscopy.2017
Author(s)
Kobayashi M1, Sumiyama K2, Shimojima N3,4, Ieiri S5, Okano H6, Kamba S1, Fujimura T3, Hirobe S4, Kuroda T3, Takahashi-Fujigasaki J7.
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Journal Title
J Gastroenterol Hepatol.
Volume: 32
Pages: 1604-1610
DOI
Peer Reviewed
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