2017 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞、成長因子を用いたハイブリッド型人工神経による顔面神経再生
Project/Area Number |
16K11382
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
松峯 元 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80598144)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 顔面神経 / 神経再生 / 人工神経 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経損傷に対して生体分解性人工神経誘導管が臨床で用いられているが、そのパフォーマンスは自家神経移植に比べ劣る。また近年、皮下脂肪組織由来のAdipose-derived stem cells (ADSCs) や Stromal-vascular fraction (SVF) が神経軸索再生を促進することが諸家により報告されている。我々は人工神経誘導管内にADSCs、SVFをそれぞれ封入したハイブリッド型人工神経を作成し、ラット動物実験モデルを用いてその顔面神経再生能力を検証する前臨床研究を行った。吸入麻酔下に8週齢ルイス系ラットの顔面神経頬筋枝を露出し7mmの神経欠損を作成した。次に皮下脂肪組織から作成したSVF、ADSCsを、それぞれ1型コラーゲンゲルをScaffoldとして人工神経誘導管内に注入したハイブリッド型人工神経を作成し (ADSCs群、SVF群)、先の神経欠損部に顕微鏡下に移植した。人工神経単独 (コントロール群)も同様に神経欠損部に移植し、術後13週で逆行性トレーサーを用いた神経再支配を確認した後、再生神経の生理学的、組織学的比較検討を行なった。複合誘発筋電図による生理学的評価では、Amplitude が コントロール群に比べ SVF 群は有意に高値であった。電子顕微鏡による組織学的評価では、Axion diameter は SVF 群、ADSCs 群、コントロール群の順で3群間に有意差を認めた。Myeline thickness は ADSCs 群、SVF 群、コントロール群の順で3群間に有意差を認めた。ADSCsとSVFはともに同レベルでの優れた神経再生促進効果を認めたが、ADSCsとSVFを顔面神経欠損症例へ臨床応用する観点から比較すると、SVFは神経損傷に対するハイブリッド人工神経のマテリアルとして応用し易いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当施設では動物実験設備が非常に充実しており、実験動物の術中死等の問題がほとんど発生しないため。
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Strategy for Future Research Activity |
間葉系幹細胞を含有したハイブリッド型人工神経の細胞ソース、細胞数等がラットを用いた動物実験により確立することができたため、来年度は豚やヒツジ等の大動物モデルを用いた、より臨床応用に近い神経欠損再生実験に移行する。
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Causes of Carryover |
(理由) 人工神経移植を行ったラットの中に神経再生を認めることのできなかった個体が認められ、移植実験計画に数週間のずれが生じてしまった。このため採取した再生神経の検体を電子顕微鏡解析へ外注依頼する日程も同様に数週間のずれが生じたため次年度使用額が発生する結果となった。 (使用計画) 遅延した検体の外注依頼を平成30年度中に提出する。
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