2017 Fiscal Year Research-status Report
熱傷創部の植皮術に適した3次元培養皮膚作成における脂肪由来間葉系幹細胞の機能解析
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16K11408
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
小網 博之 佐賀大学, 医学部, 講師 (10465354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪本 雄一郎 佐賀大学, 医学部, 教授 (20366678)
野口 亮 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (70530187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 3次元皮膚培養 / スフェロイド / 脂肪由来間葉系幹細胞 / 線維芽細胞 / HA-Matrix |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究成果を元に、脂肪由来間葉系幹細胞と線維芽細胞、血管内皮細胞の混合パッチを作成した。線維芽細胞と血管内皮細胞に加えて間葉系幹細胞混成皮膚パッチは、肉眼的には、より強固となる可能性が確認できた。しかしながら、皮膚移植に耐えられるような厚さならびに大きさにはまだ到達していない状態だった。 次に、3次元培養用細胞外マトリックスとして知られるHA-Matrixをこの合成パッチに用いることで、スフェロイド形成ならびに合成パッチに対する効果を評価した。単一の線維芽細胞のスフェロイドに対して濃度を調整して混入してみると、急性期のパッチ合成には効果が見られたが、最終的なパッチの肉眼的形態には大きな差は見られなかった。同様の実験をケラチノサイトでも行った。過去の研究において、単一のケラチノサイトだけでは良好なパッチは形成できなかったが、HA-Matrixを混入したパッチは、薄い膜上シートの形成は確認できたが、強度は不十分だった。同じく、間葉系幹細胞のみでも同様の実験を行った。肉眼的には、全てパッチを形成したが、その過程においては、使用する培養器材などによって相違が見られた。 さらに、HA-Matrixの濃度を3段階に大きく分け、線維芽細胞によるパッチ形成を評価する実験も2回行ったが、高濃度のHA-Matrixにおいては、均一に培養皿に培養した場合でも中央に細胞を寄せ、より強固なパッチを形成することが確認できた。 以上より、HA-Matrixを用いた皮膚パッチ形成は、濃度依存性にそれぞれの細胞において効果を示す可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基礎実験は繰り返し行えており、データも収集できている。特筆すべきは、今年度は、HA-Matrixを用いた実験を行ったことにより、それぞれの細胞に対する効果や今後の研究の進展が期待できるような成果を得られたことである。すなわち、当初の予定した進捗には到達していないが、次年度はさらに組織学的検討を行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で、さらなる強固な合成パッチの作成に対してHA-Matrixの効果が期待できることからも、今後の研究では、これまでに作成した多くの皮膚パッチを組織学的に評価し、間葉系幹細胞の機能解析ならびにHA-Matrixの効果を明らかにしていきたい。 まずは、通常の組織染色や免疫染色を行い、顕微鏡的評価を行う。間葉系幹細胞と線維芽細胞、血管内皮細胞、ケラチノサイトの合成皮膚パッチの関係ならびにHA-Matrixとそれぞれの皮膚パッチとの関係をミクロレベルで評価する。 こうした基礎データを集めて論文化するのが今年度の目標である。時間的余裕があれば、再度合成パッチ作成を行い、皮膚移植可能なパッチ作成を試みる。
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