2019 Fiscal Year Research-status Report
ICU患者の睡眠障害、せん妄に対するオレキシン拮抗薬の有用性
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16K11418
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
讃井 將満 自治医科大学, 医学部, 教授 (30424039)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | せん妄 / 集中治療 / 睡眠 / ポリソムノグラフィー / スポレキサント |
Outline of Annual Research Achievements |
Phase 1であるICU患者におけるオレキシンの脳脊髄液中動態を評価する研究は、2例で検体を収集した。 Phase 2の準備研究として、非侵襲的な睡眠モニタリング機能付きマット(眠りSCAN TM;、パラマウントベッド社)、簡易脳波モニター(SedLine TM;、マシモジャパン社)の正確度・感度・特異度を、定型的質問紙法やポリソムノグララフィー(PSG)を対照として比較・検証し、それぞれの睡眠モニターとしての信頼度と正確度を評価した。眠りSCAN研究に関しては、論文採用(J Intensive Care. 2020 Feb 11;8:16.)、SedLine研究に関しては投稿中である(BMC Anesthesiology)。 Phase 2として”スボレキサントによる睡眠構築・せん妄への影響”を前向きに検討する予定であったが、実行可能性を考慮し、後ろ向き観察研究に変更し、単施設後ろ向き観察研究とした。スボレキサントがICU患者のせん妄の減少と関連する結果が得られ、その結果が国際雑誌に掲載された(Psychogeriatrics. 2018 May;18(3):209-215)。 Phase 3である”心臓血管外科術後患者を対象としたスボレキサント投与の無作為化比較試験”は、実行可能性、臨床的有用性を考慮して計画を修正し、スボレキサントを含めたICUにおける睡眠促進・せん妄予防プロトコルの有用性を検証する多施設前向き介入前後比較研究とした。2019年度内にデータ解析を終了し、論文作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Phase 1であるICU患者におけるオレキシンの脳脊髄液中動態を評価する研究は、開始が遅れたものの、2例で検体を収集した。対象患者が予想以上に少なく、エントリーに苦労しているが、数例の報告でも貴重であり、本年度、論文作成を開始するとともに、さらにエントリーを増やしていく。 Phase 2では、計画を変更しPhase 3で使用する睡眠モニターの正確度と妥当性を検証する準備研究を行った。非侵襲的な睡眠モニタリング機能付きマット(眠りSCAN)、簡易脳波モニター(SedLine)の妥当性・正確性を、定型的質問紙法やPSGを対照として比較・検証した。今年度、両者ともに論文投稿し、1編が採用された。各種の睡眠モニタリング法の妥当性・正確性の評価を行っておくことは、非侵襲的睡眠モニターの結果の解釈に必要不可欠であり、結果が得られた意義は大きい。 Phase 3である”心臓血管外科術後患者を対象としたスボレキサント投与の無作為化比較試験”の実行可能性、臨床的有用性を考慮して、計画を修正し、スボレキサントを含めたICUにおける睡眠促進・せん妄予防プロトコルの有用性を検証する多施設前向き介入前後比較研究とした。本研究のデータ収集・解析が終了し、論文作成中である。 以上より、Phase 1、Phase 2、Phase 3ともに、本年度中に論文発表まで完了する見込みが立ったと言える。これは、当初の計画以上に進行したと考えられるので、”おおむね順調に進展”とした。
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Strategy for Future Research Activity |
Phase 1であるICU患者におけるオレキシンの脳脊髄液中動態を評価する研究は、2020年度内に論文投稿を目指しつつ、症例エントリーを増やす。 Phase 2として、簡易脳波モニターによる睡眠モニタリングの正確度・妥当性を検証する研究も、論文受理を目指す。 Phase 3であるスボレキサントを含めたICUにおける睡眠促進・せん妄予防プロトコルの有用性を検証する多施設前向き介入前後比較研究は、論文作成を完了し、投稿する。
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Causes of Carryover |
投稿関連費用が予想以下、COVID-19の影響で学会中止などが影響し、次年度使用額が発生した。今年度、投稿関連費用、学会出張費、コンピューター・ソフトウェア、書籍などに使用予定である。
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