2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K11421
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
射場 敏明 順天堂大学, 医学部, 教授 (40193635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 宣宏 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (80267955)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロテオミクス / 二次元電気泳動 / 敗血症 / 多臓器不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は「感染により制御不能な宿主反応に起因した生命を脅かす臓器障害を合併した状態」と定義されている。しかし「感染の存在」や「臓器障害の重症度」を正確に評価することは容易ではなく、従来とは異なるアプローチ法の開発が求められている。今回、二次元電気泳動をハイスループット化した新たなプロテオミクス技術を用いて、新たな敗血症の重症度診断法の開発を試みた。まず敗血症症例30例と健常者68名より採取した血液検体においてプロテオミクス解析を実施し、得られたスポットのパターン変化と臨床経過を比較検討することにより、高精度の診断法の開発を試みた。具体的には画像サイズおよそ2000×1500の二次元電気泳動画像データを用いてDeep Neural Network(DNN)を構築し、98症例分の転移元データを53×44に縮小し、2分割交差検定にて重症度との関連を評価した。その結果、新たに構築された手法における敗血症診断の感度は0.933 (28/30),特異度は0.941 (64/68) で識別精度は約93.9%(92/98)となった。したがって、プロテオミクスを用いた新たな診断法は敗血症診断のための有用なツールになり得ると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例集積数は目標値には到達しなかったものの、必要症例を確保でき、解析の段階に到達している。
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Strategy for Future Research Activity |
敗血症の病態は感染した病原体の種類や量のみならず、患者の免疫応答によるバリエーションが大きく、また治療の有効性や並存疾患との関係も考慮する必要がある。またその病態は時間とともにダイナミックに変動することから、その診断においては、多数の情報をより高い精度で連続的に判断していくことが求められる。上記の理由から、従来行われてきた特定の血中マーカーによる敗血症の病態評価では、精度や効率等の面で限界がある。今回の研究では高精度な二次元電気泳動法画像データを処理することによって新たな診断的アプローチを行なった。しかし得られたデータをより有効に活用するためには機械学習を取り入れる必要があると考えており、今後はこの方面への展開を計画している。
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Causes of Carryover |
学会報告のための費用と論文作成の費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)