2017 Fiscal Year Research-status Report
PICS関連の中枢神経障害を予測するバイオマーカーの開発と臨床応用
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16K11425
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山田 真吏奈 日本医科大学, 医学部, 講師 (70508621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横堀 将司 日本医科大学, 医学部, 准教授 (70449271)
近田 祐介 日本医科大学, 医学部, 助教 (80637827) [Withdrawn]
太田黒 崇伸 日本医科大学, 医学部, 助教 (60786812)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 敗血症 / PICS / Humanin |
Outline of Annual Research Achievements |
集中治療の進歩により、敗血症患者や重症頭部外傷患者の救命率が向上している。その一方で、近年、ICU退出後の慢性期において、記憶障害、ストレス症状、うつ病、倦怠感、長期的筋力低下といった脳機能障害が高頻度に生じており、生活の質(quality of life, QOL)の低下や社会復帰へ支障を来すことが報告されている。こうした病態は、2012年Society of Critical Care Medicineの合同会議においてPost-intensive care syndrome(PICS)という概念にまとめられた。患者QOLの保持、患者関係者の負担軽減、医療費削減に直結しうるPICS対策が求められるが、未だ有効なモニタリング法および治療法が確立されていない。本研究の目的は、重症疾患患者(敗血症および頭部外傷)が慢性期に発症する中枢神経系機能障害の予後予測法(バイオマーカー)および治療薬を開発することである。このために、各種サイトカイン、特に認知症に関連する内在性神経保護因子、ヒューマニン(Humanin, HN)に注目し、病態への寄与、治療薬としての可能性を検討する。 平成28年度は、PICSの中で特に脳機能障害の病態を再現したマウスモデルを用いて、重症度による脳内に生じる過剰な炎症反応の制御機構と神経細胞の保護・防御機構の検討を試みた。その結果、短期記憶は軽度脳機能障害の群に比べて重度の群で有意に低下すること、大脳と海馬におけるβ-Amyloidの量は重度の群において顕著に増加することを明らかとした。本年度は、血中のHN濃度を評価するELISA系の構築に取り組んだ。臨床検体を用いたパイロットスタディーの結果、敗血症の重症度とHNの発現量の関係を示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、血中のHumanin(HN)濃度を評価するELISA系の構築ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
PICSに関連する中枢神経障害に対するHumanin(HN)の治療メカニズムの解析と臨床検体を用いたvalidationを実施する。
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Causes of Carryover |
(理由) 市販の Humanin(HN) ELISA kitを用いて測定を行ったが、検出限界で検出することができなかった為、 本年度、血中のHN濃度を評価するELISAの構築を試みた。 (使用計画) 概ね当初の研究計画に沿って今後の研究を進めるが、今年度までの結果をふまえて、構築したELISAの感度を市販のHN ELISA kitと比べる際の ELISA kit購入に予算をあてる。
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