2017 Fiscal Year Research-status Report
妊娠高血圧症候群における血管内皮細胞の形態学的変化と抗凝固薬の保護効果機序の検証
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16K11427
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
日野 博文 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (70308500)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / グリコカリックス / 血管透過性 / 抗凝固薬 / 細胞接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は妊娠高血圧症候群(PIH)動物モデルにおける血管内皮細胞障害の機序と保護因子の解明である。 第一に、PIH動物モデルにおいて、血管内皮細胞上で防御機構を有するglycocalyx(Gcx)層の脱落を部位別に形態学的に検証する。第二に第Xa因子やトロンビンを制御する抗凝固薬であるdanaparoid(DS)とthrombomodulin(r-TM)を投与し、Gcx層の保護効果を形態学的に検証する。Gcx層と類似構造を有することから、Gcx層の保護・改善効果が期待される。 平成29年度研究実施内容は、平成28年度の遅延項目であった脳・腎糸球体毛細血管Gcx層の電子顕微鏡による形態学的な検証が行われた。結果、PIH群では脳・腎糸球体ともにGcx層の破綻が示された。DS群とr-TM投与群においては、脳・腎糸球体ともに保護・改善効果が示された。この結果により平成28年度の研究項目は終了した。 平成29年度の施行予定内容は、実験2.PIH動物モデルにおけるEvans Blue dye染色による血管透過性の形態学的な検証である。施行予定内容通り、PIH動物モデルにおけてEvans Blue dye染色が行われた。結果、脳・腎糸球体毛細血管においてEvans blue dye染色により血管透過性は示された。しかしながら、その染色程度は形態学的に評価可能なレベルに至っていない。現在は、実験手法と評価方法を変更し、検証中である。 平成30年度の施行予定内容は、実験3.ヒト臍帯静脈血管内皮細胞におけるGcx層の形態学的変化の検証である。また、DS、r-TM添加によるGcx層の保護効果機序の検証である。現在は、臍帯静脈血管内皮細胞におけるGcx層の形態学的変化のパイロット試験を検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.平成29年6月-8月の3ヶ月間、当施設動物研究施設改修のため、動物入手が困難であり当該実験施行が遅延した。 2.各群における血管透過性の評価としてのEvans Blue dye染色法における染色が十分ではなく、様々な評価方法を検討した結果、予想以上に検証に時間を要したことも要因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにモデルは確立され、各群の臓器試料は確保できており、試料におけるEvan blue dye染色における血管透過性の評価の別途研究手法として蛍光顕微鏡を用いた評価を現在継続している。また、評価判断困難な場合はその他の透過性物質(デキストリン)を用いた手法に切り替える予定である。 実験3のヒト臍帯静脈血管内皮細胞におけるGcx層形態学的変化とDS、r-TMのGcx層保護効果の検証実験は現在、パイロット試験検証中である。実験3はin-vitro研究であり、実験2と独立して行えること、また手法確立後の研究終了までの期間は短いと予想されるため、30年度中には終了を予定している。
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Causes of Carryover |
(理由)今年度分の使用額はほぼ計画的に使用した。しかしながら、血管透過性評価の問題解決に時間を要した事、施設動物研究施設改修工事による動物入手困難であった事により、実験遅延が生じた。その分の使用額が次年度へと繰り越されることとなっている。 (使用計画)1.各群の試料は確保できているため、今後は当施設内に設置されている蛍光顕微鏡において、Evans blue dyeによる血管透過性評価や蛍光標識された物質により血管透過性評価を行う。2.ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を拡大培養後、別途購入したチャンバーにおいて灌流培養し、PIHモデルの条件設定を行ったのち、Gcx層の形成評価を行う。また、培養細胞におけるDS、r-TM添加におけるGcx層の評価および細胞間接着の観察を蛍光顕微鏡によるライブイメージング法を行う。
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Research Products
(1 results)