2016 Fiscal Year Research-status Report
敗血症における男性予後改善の治療標的としてのIL-18の可能性
Project/Area Number |
16K11431
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
小谷 穣治 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80360270)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 倫子 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40566121)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 敗血症 / インターロイキン18 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、雄性マウス重症敗血症モデルの作製および抗IL-18 抗体投与を行い、検体採取することを当初の目標としていた。ただし、ノックアウトマウスの譲り受け、繁殖に予定よりも時間がかかったことから、抗IL-18抗体投与までは至らなかった。 C57BL/6Jマウス(Wild type; WT)とIL-18 Knock outマウス(KO)を用いて敗血症モデルを作成し、内因性IL-18の敗血症への影響を検討した。予定していた18 G 2穴の処置では侵襲度が高すぎることが明らかとなったため、22 G 2穴の処置に変更した。雄性、雌性、雌性卵巣摘出マウスにおいて、22 G 2穴の盲腸結紮穿刺を行い、既報に従ってマウス行動から最も重症が28点となる敗血症スコアを算定し、重症度を確認した。 生存率は、WTでは雄44%、雌100%、卵巣摘出雌75%であった。KOでは雄58%、雌50%、卵巣摘出雌85%であった。内因性IL-18が欠如していると、雄は生存率がやや改善し、雌は生存率が著しく下がる結果となった。術後24時間以降、100時間までの敗血症スコアは、雄ではWTに比べKOで低く、雌ではWTに比べKOで高く、卵巣摘出雌ではWT, KOとも同様の点数であった。これらの結果より、雄の場合、内因性IL-18は最終的な生存率に関与するかは引き続き検討中であるが、経過における敗血症重症度を悪化させている可能性が考えられた。また、雌では内因性IL-18が生存率と敗血症重症度に大きく貢献している可能性が示唆され、卵巣摘出によりその効果が薄れることから、女性ホルモンの存在下で内因性IL-18は生存に有利に働くと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度には、重症敗血症モデルの作成が成功し、検体採取も実行出来ているが、当初計画していたIL-18抗体投与実験はまだ実施できていない。実施できていない理由としては、ノックアウトマウスの入手に予定よりも時間がかかったことが挙げられる。しかし、計画自体は順調に進んでおり、実験結果についても、想定範囲内の手技の修正(穿孔するケージ数の変更や、生存率による解析だけでなく敗血症スコアを取り入れるなど)で対応できている。また、検体の解析には未実施な部分が残っているが、検体自体は予定どおり採取出来ていること、生存率や敗血症スコアに十分なn数確保やCLP手技の安定性も得られていること、次年度以降の実験計画に大きな変更は必要ないと考えられることから、概ね順調に進行していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり、平成29年度には平成28年度に採取した検体について引き続き解析を行い、IL-18抗体投与実験を実施して、IL-18を中和した場合についての詳細な検討を行う。さらに、ヒト培養細胞を用いてマウス実験で得られたIL-18の効果がヒトの細胞でも再現できるのかを確認していく。
|
Causes of Carryover |
予定していた抗体投与実験が未実施であるため、抗体購入費用が平成28年度には使用出来ていなかった。また、平成28年度には検体採取までで実験が終了しており、まだ解析出来ていない検体が多数あるため、ELISA購入費用や生化学外注費用などもまだ支出されていないことが理由である。これらの事から、実験の基礎となるデータは順調に採取出来ているが、まだ論文発表や学会発表に至る十分なデータが得られていない事より、学会発表などで使用する予定の旅費が支出出来ていなかったことも理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体投与実験に必要な抗体を購入すること、及び、マウス検体について、ELISAや生化学外注などを行う。また、得られたデータは速やかに解析し、学会発表や論文発表を行う。
|