2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the mechanisms of lung tissue injury in aspiration pneumonia
Project/Area Number |
16K11439
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
土門 久哲 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00594350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50397717)
小田 真隆 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (00412403) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / ニューモリシン / 好中球エラスターゼ / 肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の肺炎による死亡数は誤嚥性肺炎を含め年々増加し,死因の第3位となった.細菌性肺炎には抗菌薬による治療が選択されるが,重症化した場合,好中球エラスターゼ阻害薬を併用し,エラスターゼ過剰分泌による肺傷害のコントロールが試みられることがある.しかしながら,そのエビデンスは十分でなく,また,肺炎におけるエラスターゼ放出メカニズムには不明な点も多い.本研究では肺炎球菌の病原因子であるニューモリシンが好中球の細胞膜を融解し,エラスターゼを漏出させることで宿主を傷害するという仮説を立てた. まず,組換えニューモリシンは好中球を傷害して内因性エラスターゼを漏出させることを明らかにした.一方,組換えニューモリシンは肺胞上皮細胞やマクロファージに対し,傷害作用を示さなかった.そこで,好中球エラスターゼを肺胞上皮細胞およびマクロファージに作用させると,両細胞とも傷害され,ウェルプレートから剥離した.それに加え,エラスターゼはマクロファージの貪食能をも抑制することが明らかとなった.次に,エラスターゼが宿主の自然免疫応答に影響を与えているのではないかと仮説を立てた.そこで,マクロファージに,熱処理した肺炎球菌死菌もしくは大腸菌由来LPSとともに好中球エラスターゼを添加した.その結果,好中球エラスターゼはマクロファージ表面のTLRに対して分解作用を示すとともに,転写因子の核内移行を抑制することで,細胞内シグナル伝達を抑制した.また,漏出した好中球エラスターゼは,培養上清中の炎症性サイトカインに対して分解作用を示すことも明らかとなった.これらの結果から,肺炎球菌は好中球からエラスターゼを漏出させることで,宿主の自然免疫応答を抑制し,肺炎を重症化させることを明らかにした.本研究成果の詳細は,英科学誌に公表された.
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Research Products
(15 results)