2018 Fiscal Year Annual Research Report
A study on oxidative stress as bactericidal mechanism of antibacterial agents by metabolome analysis
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16K11446
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
三宅 洋一郎 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (80136093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 圭史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10335804)
馬渡 一諭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (40352372) [Withdrawn]
弘田 克彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (60199130) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 難治性感染症 / 緑膿菌 / 抗菌薬 / 抗酸化能 / トランスクリプトーム解析 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオフィルム感染症等の慢性感染症の原因として抗菌薬抵抗性が注目されている。抗菌薬抵抗性とは,抗菌薬存在下で細菌は増殖しないものの,死滅しない現象であり,遺伝子の変異は伴わず,一時的な遺伝子発現の変化によるものと考えられているが,その詳細なメカニズムは明らかにされていない。我々は,緑膿菌psl遺伝子が抗菌薬抵抗性に重要な役割を果たしていることを見出した。また,抗菌薬の新たな作用機序として,酸化ストレスが注目されている。そこで,酸化ストレスと抗菌薬抵抗性との関連について,緑膿菌PAO1株や臨床分離株を用いて検討した。 今回の研究から,ビアペネム,オフロキサシン,トブラマイシンなどの抗菌薬の添加により,緑膿菌は酸化ストレスを受け,その結果,活性酸素種の1つであるH2O2が菌体内に発生することが示された。またH2O2に対する抵抗性が,ビアペネムやオフロキサシンなどの抗菌薬抵抗性にも深く関わっており,この抵抗性には, psl遺伝子が重要な役割を果たしていることも明らかとなった。また,バイフィルム形成以前の付着細菌でも高い抗菌薬抵抗性を示すことから,臨床分離株を用いて,抗菌薬抵抗性が低い株をスクリーニングしたところ5株見出すことが出来た。これらの臨床分離株では,PCRではpslA遺伝子は検出されなかった。また,ビアペネムやオフロキサシン添加によるH2O2の発生や,H2O2に対する抵抗性,ビアペネムやオフロキサシンなどの抗菌薬抵抗性においてもPAO1株と同様の傾向は認められたが,菌株によりその程度は様々であり,より複雑な制御系が存在していることが推測された。さらに,マイクロアレイによるトランスクリプトーム解析やメタボローム解析などから,抗菌薬は細菌の遺伝子発現や,菌体内の代謝経路にも幅広く様々な影響を与え,酸化ストレスをはじめとする種々のストレス応答を誘導していることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)