2017 Fiscal Year Research-status Report
口腔トレポネーマのべん毛構造の解析とべん毛を介した定着機構に関する研究
Project/Area Number |
16K11465
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
永野 恵司 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (60367620)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トレポネーマ / スピロヘータ / 歯周病 / 運動 / 付着 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
トレポネーマ・デンティコーラ(グラム陰性嫌気性細菌)は、歯周組織にバイオフィルムを形成して定着し、歯周病の発症や進行に関わる。また、本菌は、スピロヘータ細菌群に属し、活発な遊泳運動が特徴である。バイオフィルム形成と運動は相反する性状であるが、その制御機構は全く分かっておらず、本研究では、その解明を目指している。 本研究では、まず、細菌の運動機関の主要構成構造体であるべん毛繊維の変異株作製を試みている。ただし、本菌のべん毛繊維は、FlaB1、FlaB2およびFlaB3という3つのタンパク質から構成されていると考えられているので、これらをコードする遺伝子の、それぞれ単独および各組合せの欠失変異株の作製を試みている。また、遺伝子変異により、運動性や歯肉上皮細胞への付着性に変化が生じるのか否かについて検討している。 変異株については、FlaB2およびFlaB3の2つを欠失させた変異株がまだ作製できていない。一方、作製できた変異株については性状解析を進めている。3つの遺伝子すべてを欠失した変異株は、べん毛繊維が消失し、運動性も消失した。一方、変異株の中には、むしろ運動性が上昇したものもあった。歯肉上皮細胞への付着性は、遺伝子変異(及び運動性の変化)による影響は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のように、残る一つの変異株が作製できていない。性状比較解析は、すべての変異株を同時に解析する必要があるため、実験を実施できないでいる。 運動性が上昇した変異株については、その理由は全く分からないが、興味深い現象であるので、解析を進めたいと考えている。 当初の推測と異なり、運動性と上皮細胞への付着性に、関連性はみられないようである。他の細菌に関する報告を精査し、今後の研究方針を考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
FlaB2およびFlaB3の二重欠失変異株については、なんども作製を試みているが、変異体を得られない。現在、作製法を変えて、再試行しているが、それでも得られない場合は、作製できた変異株だけで、種々の性状を比較検討する。補助事業期間内に、実験は終了できると考えているが、学術雑誌への公表等は、補助事業期間を延長して行う可能性がある。
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Causes of Carryover |
論文公表に伴う英文校正や投稿料を予定していたが、公表が遅れているため次年度使用額が生じている。
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Research Products
(3 results)