2017 Fiscal Year Research-status Report
歯周病原細菌の線毛構築機序の解明から浮かび上がる線毛構造モデルと未知なる機能
Project/Area Number |
16K11466
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
長谷川 義明 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70460524)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口腔細菌学 / 歯周病関連菌 / 線毛 / Mfa1 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisの持つ付着因子であるMfa1線毛は、主要サブユニットであるMfa1が重合した繊維状構造物にアクセサリー分子Mfa3、Mfa4およびMfa5が結合していると考えられている。本研究では、本線毛の形成機序を解明し、未知なる機能を明らかにすることを目的とした。 平成29年度では、Mfa1、Mfa2およびMfa3の結晶構造が明らかにされたため、主に、これらの立体構造を基にして線毛形成機序の解明に取り組んだ。P. gingivalis ΔfimA(もう一方の線毛の欠損株)を親株として、線毛タンパク質の重合に関係していると予想されるN末端の変異株およびC末端の削除株を作製し、線毛形成に及ぼす影響を検討した。Mfa1のC末端削除株ではMfa1の重合は全く認められなかった。一方、Mfa3のC末端削除株ではMfa3が線毛に組み込まれた。Mfa1のN末端変異株においてはMfa1重合の熱安定性が低下した。以上の結果から、少なくとも、Mfa1の重合にはN末端とC末端のどちらも関与していることが考えられた。 レクチンブロットおよびLC-MSによる解析によるMfa1タンパク質の糖鎖修飾様式の検討においては、マンノースやガラクトーズといった単糖が線毛に含まれていることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Porphyromonas gingivalisの変異株の作製と機能解析がやや遅れているが、それ以外は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は平成29年度に予定していた変異株の作製を進めるとともに、遅れている部分の実験についても実験系の確立を目指す。また、計画以上に進んでいる点については、今後も実験を継続して研究成果を得るとともに、新たな展開について模索する。特に、Mfa1の重合が十分でないN末端変異株およびC末端削除株を線毛の機能解析に用いることにより、Mfa1線毛の役割が明らかにできるように努力したい。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度使用額が生じた理由として、変異株作製後の解析に用いる試薬の購入や糖鎖修飾解析の委託が遅れたことが挙げられる。また、学会発表をするための旅費が発生しなかったことが挙げられる。 (使用計画) これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、物品費、旅費、英文校正費等を含むその他の経費を増やすことなどを計画している。
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Research Products
(9 results)