2017 Fiscal Year Research-status Report
乳腺相似分泌癌(MASC)関連変異遺伝子の分子病理学的意義と臨床病理学的研究
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16K11467
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
宮部 悟 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40534582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下郷 和雄 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (00158966)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 唾液腺腫瘍 / 分泌癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
既に提出した研究計画書で示した通り、当科および当科関連研究施設の症例においてETV6 break apart probeを用いたFISH法での乳腺相似分泌癌(2017年WHO blue noteではsecretary carcinoma:「分泌癌」と疾患名が変更された。以下SCとする。)と診断された14症例について、その臨床病理学的特徴を明らかにするため、引き続きRACE法(rapid amplification of cDNA ends)を用いてNTRK3以外の新規融合遺伝子転座を検索した。RACE法における特異的はプライマーを3部位について設計し、検索を行ったが、新規パートナー遺伝子は検出出来なかった。 一方、Skalova Aらにより、"Molecular Profiling of Mammary Analog Secretory Carcinoma Revealed a Subset of Tumors Harboring a Novel ETV6-RET Translocation: Report of 10 Cases <Am J Surg Pathol. 2018 >"との報告が2018年初頭になされ、当科でもSCにおける新規パートナー遺伝子としてRET遺伝子に着目し、計14例についてRET break apart proveを用いて検索を行ったところ、1例についてETV6-RET転座の遺伝子異常を有する症例が検出された。本症例は組織学的に線維化と核異型が比較的強い症例であり、過去の報告でみられる新規遺伝子異常の組織型と類似した組織型を示した。本研究について、今後は英文誌への論文化を見据え、さらに症例を蓄積し、より多数例での新規遺伝子異常検出に努める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度に追加採択を頂いた本研究であるが、半年間遅れて研究をスタートしたため、当初計画していた症例収集が未だ十分獲得出来ていない状況である。本来はETV6の新規パートナー遺伝子として検出された遺伝子異常(ETV6-RET転座)の有する症例をさらに多数憂い収集し、その臨床病理学的特徴を明らかにする計画であったが、現在、新規遺伝子転座を有する用例は1例を検出したのみである。 やや遅れている本課題の進捗状況ではあるが、本年度の症例収集状況によって充分当初の目標に到達することは可能であると考える。研究計画書に重点的に記載した「SCにおける新規遺伝子異常の検索と臨床病理学的特徴の検討」について、新規遺伝子異常症例を今後1~2例ほど収集できれば、充分に臨床病理学的特徴を統計学的に推定し、結果を報告することが出来ると考えている。今後は当初の予定期間を延長して追加症例収集を行い、新規遺伝異常転座ETV6-RET転座症例を収集し、その臨床病理学的特徴を統計学的に検索する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
腺房細胞癌の症例収集において、実験計画書に記載した通り、当該講座の症例収集から開始したが、すでに当該講座の唾液腺癌アーカイブ中のSC症例の検索は十分に終えている状態である。このため今後は関連研究施設の腺房細胞癌症例の検索に移る。実際には実験計画書に記載した関連研究施設の総合病院2施設の唾液腺癌アーカイブの検索は終了している状態であり、残りは1つの総合病院のアーカイブを検索するのみとなっている。今年度は最後の共同研究施設のアーカイブ検索を早急に終え、収集症例に対してETV6 break apart proveによるFISH法検索を迅速に施行する予定である。さらに10例ほどの腺房細胞癌を追加収集出来る見込みであり、これらの10症例において新規遺伝子異常を検出出来る可能性があるため、鋭意症例収集とFISHの解析をすすめる予定である。
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Causes of Carryover |
当該課題は2016年度の追加採択課題であったため、研究進捗が6ヶ月ほど遅れている現状があり、そのため昨年度計画で若干余剰金が発生した。 しかし、取り急ぎ研究を急いで行うため、次年度には予定通りの研究成果をまとめることが出来る予定である。
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Research Products
(3 results)