2017 Fiscal Year Research-status Report
男性も含めたヒトパピローマウイルス感染予防法の開発に向けた疫学調査
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16K11468
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 和加 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10513210)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 病理学 / ウイルス / 感染症 / HPV |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔領域おいて、現在、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染と種々の病変、特に扁平上皮癌との関連が示唆され、悪性化の一つの要因として重要視されている。しかしながらHPVの感染においてはいまだに不明な点が多く、その感染様式、感染頻度さらにHPV感染のタイプを解析する必要がある。 また我が国では、子宮頸癌予防を目的としたHPV-16,18型のワクチン等、女性への情報は広まりつつあるが、男性の感染対策は行われていない。性感染症で、16,18型以外の高リスク型も多く、男性の感染も予防されない限り子宮頸癌は無くならない。また、HPV関連の尖圭コンジローマや口腔癌、中咽頭癌、肛門癌などを減らすためには、豪州や米国同様、男性もワクチンは必須であると考える。 我々は、今回の科学研究費補助金を得て、モンゴル国における医療援助活動の一環として毎年実施されている歯科検診に同行し、歯科検診受診者と同伴者の内、インフォームド・コンセントの得られた者を対象に、口腔粘膜(頬粘膜)の擦過サンプルを採取するとともに、専門医による粘膜疾患の有無と種類の確認を行い、また飲酒や喫煙を含む生活習慣などの調査も併せて行った。今年度は、昨年度の約440名分に続き、約403名分のサンプルと情報を得た。 今後、潜伏感染中の少量のウイルスも検出し得ると思われる感度の高い検出法として、ある程度断片化された鋳型DNAからも検出し得るPCR産物の小さなプライマーセットと、約40種類にのぼる粘膜指向性HPV型特異的プローブを用いたReverse Line Blot法により、HPV感染の検出と感染HPVの型の同定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画で予定していた250より大幅に多い約403の検体数が得られ、処理に時間を要している。 我々の研究においては大人の検体が望ましいが、今回は大人約133検体、子供約270検体が得られ、子供の方が多かった。しかし、検体は貴重であるため、数が多いことは良いことであると考え、全て解析することにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回我々は、従来の我々の方法を改善し、擦過サンプルをすぐに細胞固定液に懸濁した状態で持ち帰った。DNA抽出後のDNA溶出液の濃度も、概ね良好な値が得られており、HPVの検出と型の同定に用いる試料として有用であると期待している。平成30年度のサンプル採取においても、この方法で行う予定である。 研究の推進については、平成29年度の解析の遅れを取り戻すようにする他は、当初の計画通り進めていく予定である。
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