2017 Fiscal Year Research-status Report
化学受容性悪心・嘔吐を誘発する神経活動とその分子基盤および行動変容の解明
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16K11471
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
舩橋 誠 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (80221555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久留 和成 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (00592081)
前澤 仁志 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (80567727)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 悪心 / 嘔吐 / 最後野 / 迷走神経 / エメチン / セロトニン受容体 / 摂食行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学受容性悪心・嘔吐を誘発する神経活動とその分子基盤および行動変容の解明を推敲するために,トコンの成分の1つであるエメチンの催吐作用についてラットを用いた味覚嫌悪学習の獲得を指標にして調べた。エメチンの腹腔投与による悪心誘発を無条件刺激として,サッカリンの甘味刺激を条件刺激として用いてサッカリンに対する味覚拒否行動を観察したところ,エメチンによる悪心誘発についてED50(50%効果濃度)=0.37 mMであった。H チャネル阻害薬(ZD7288)を前投与についても検証を始めているが,このデータについては現在十分なデータ数を取得すべく実験を継続して行っている。両側迷走神経切除と,最後野切除については試行錯誤を行い術式を確立した。各手術を施したラットを用いてエメチン誘発の悪心によるサッカリンの甘味拒否行動の変化を観察していくつかのパイロットデータを得ている。更に実験数を増やすことにより,統計学的な解析を行える。悪心と摂食調節に関わるニューロンネットワークを同定する実験として,エメチン投与群とセロトニン3型受容体アゴニスト投与群について,各薬剤投与の 2 時間後に麻酔下にて4%パラホルムアルデヒドを用いて灌流固定行い,脳を摘出し,ミクロトームを用いて厚さ 50 ミクロンの固定切片を作成し,c-Fos 抗体を用いた免疫染色を行い脳幹部,視床下部,視床背内側核,背内側前頭連合野の各部におけるc-Fos 陽性細胞を同定したところ,エメチン投与群において最後野,孤束核と扁桃体中心核において他の部位よりも有意に多い数のc-Fos 陽性細胞を検出した。セロトニン3型受容体アゴニスト投与群についても同様に解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに両側迷走神経切除術と最後野切除術の当研究室オリジナルの手術術式を確立することに成功することができたの,従来より確立していた手法である味覚嫌悪学習を用いた行動実験およびc-Fos 陽性細胞の免疫染色法と組み合わせてルーティーンで実験を行っており,ほぼ実験計画どおり順調にデータを収集できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ予定どおりに研究を進めることができているため,今後も同様のペースで実験を重ねて行くことが妥当であると考えている。また,次年度は本研究課題の最終年に当たるため,学会および学術論文としての成果発表も精力的に推進する。
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Causes of Carryover |
動物実験の進捗状況はほぼ計画通りであったが、予定していた実験動物数よりも少ない匹数で結果が得られたことと、それに伴う飼料代、飼育代が当初より少なくなった。また、試薬代も予定額よりも安価に購入することができた。次年度使用額については今年度の成果に加えて追加検討が必要な実験計画の実施と顕微鏡のリース代として充てる予定である。
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