2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞外環境感知センサーを介した象牙芽細胞の規則的配列機構の解明
Project/Area Number |
16K11475
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高江洲 かずみ (河田かずみ) 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10457228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 高子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00228488)
青山 絵理子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10432650)
滝川 正春 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20112063)
西田 崇 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30322233)
久保田 聡 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90221936)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 象牙芽前駆細胞 / IFT88 / 細胞増殖 / 細胞接着 / DEX / b-グリセロリン酸 / CCN4 / CCN5 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の日本社会の課題である健康寿命の延長には咀嚼機能の維持が鍵となるが、歯牙組織の構成成分である象牙質の自然状態での再生能力は不十分である。このため、象牙芽細胞の細胞外環境感知センサー、つまり〝一次繊毛”の形成や細胞周期の制御に機能するIntraflagellar transport (Ift) 88を機能制御すること で、象牙質再生の実現を我々は目指している。 この目的のため、以前に、Ift88をノックダウンした象牙芽前駆細胞 (sh-Ift88 KN3細胞) において、細胞接着能力や増殖速度を評価した。その結果、sh-Ift88 KN3細胞では、両者ともに減少することを明らかにしている。 現在は、象牙質再生をより効率的に行う方法を探索している。象牙芽前駆細胞培養時にリン脂質の構成成分であるb-グリセロスリン酸 (b-GP) とステロイド系抗炎症薬であるデキサメタゾン (DEX) を 添加し、分化の誘導を行うことが多い。しかし、両物質の細胞接着や増殖における詳細な役割は明らかとなっていなかったため、現在までに、我々はKN3細胞の接着や増殖におけるb-GPとDEXの役割の解析を行った。その結果、細胞接着においては、両物質ともに変化が認められなかった。また、細胞増殖においては、b-GPでは変化が認められなかったが、DEXは抑制した。さらに、sh-Ift88 KN3細胞を用いて、DEXによる細胞増殖への影響を評価した。その結果、sh-Ift88 KN3細胞ではDEXによる細胞増殖抑制は認められなかった。 そこで、本年度は、DEXによる細胞増殖抑制をIft88ノックダウンが解除する機構を探索したところ、ヘッジホッグシグナル経路や古典的Wntシグナル経路の関与は認められなかったが、古典的Wntシグナル関連遺伝子であるCcn4, Ccn5が何らかの関与をしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産前・産後休暇、育児休暇の取得により、当初の予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、DEX添加による細胞増殖抑制がIFT88ノックダウンによって解除される機構を、さらに探索する。具体的には、「ヘッジホッグシグナル経路や古典的Wntシグナル経路の関与は認められなかったが、古典的Wntシグナル関連遺伝子であるCcn4, Ccn5が何らかの関与をしていることが示唆された」ことから、DEX添加による細 胞増殖抑制がIFT88ノックダウンによって解除される機構へのCcn4, Ccn5 の関与について、さらに検討する。 その後、一次繊毛による象牙芽細胞極性制御機構の解明を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度は、産前・産後休暇、育児休暇の取得のため、研究を当初の予定通り進めることができなかった。また、IFT88を介したDEXによる細胞増殖抑制機構の解明までには至っていないため、論文投稿を行っていない。そのため、論文投稿の際に必要としていた英語論文校閲、研究成果投稿料が発生しなかった。これらの理由により、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 翌年度分として請求した助成金と合わせた総額;307,826円を物品費;253,257円、旅費;34,421円、人件費・謝金;10,074円、その他;10,074円の内訳で使用計画である。
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