2016 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺組織再生における低酸素応答の役割:新規組織再生法の開発
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16K11490
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
笠原 正貴 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (30328265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松坂 賢一 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (70266568)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低酸素応答 / 唾液腺 / 組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、ラット顎下腺における「低酸素応答活性化モデル」の作製を行う前に、タモキシフェン投与により、全身性に低酸素応答を発現させたPHD2ノックアウトマウスを用いて、低酸素応答が唾液腺を含む各臓器に発現するかどうか、またそのメカニズムを検証することとした。現在、歯髄、骨髄、唾液腺、脂肪組織、線維組織等の細胞を初代培養し、低酸素応答が発現しているかどうか、乳酸値の測定やPHD2、HIFの遺伝子発現等を検討中である。 使用したマウスは、タモキシフェン投与により全身性に低酸素応答が誘発されるPHD2ノックアウトマウス(PHD2 flox/flox; Cre-ER)である。このマウスから得られた各臓器の細胞は低酸素応答が活性化し、培地中に乳酸が放出される。また細胞内には、PHD2やHIFの遺伝子発現やタンパク発現が確認できることが予想される。検討の結果、培地中乳酸値は有意に上昇していることが確認でき、対照群と比較して解糖系が亢進していることが確認できた。 一方、低酸素応答時に増加する転写因子HIF1α、HIF2αを検出するために、ウエスタンブロッティング法における条件検討を行った。まずRCC4細胞および786-O細胞を用いて、in vitroの系での検討を行った。その結果、HIF1α、HIF2αともに検出できることを確認した。次に12時間1%酸素下に培養したHeLa細胞を用いて検討を行った。その結果、低酸素状態に置かれたHeLa細胞から、HIF1α、HIF2αが検出されることを確認できた。すなわち、HIF1α、HIF2αの抗体が機能していることを確認できた。この結果を踏まえて、現在、PHD2ノックアウトマウスの各臓器から採取した細胞で、抗体の条件検討を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画では、ラット顎下腺における「低酸素応答活性化モデル」の作製を行う予定であったが、その前に、タモキシフェン投与により、全身性に低酸素応答を発現させたPHD2ノックアウトマウスを用いて、低酸素応答が唾液腺を含む、各臓器に発現するかどうか、またそのメカニズムを検証することとした。予定通りではないが、全体の進捗状況はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、歯髄、骨髄、唾液腺、脂肪組織、線維組織等の細胞を初代培養し、低酸素応答が発現しているかどうか、乳酸値の測定やPHD2、HIFの遺伝子発現等を検討している。ラット顎下腺モデルについては、平成29年度に入り、直ちに行う予定である。また同時進行で、PHD2ノックアウトマウスから得られた、歯髄幹細胞や骨髄幹細胞を組織再生に応用できないかどうかを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度の研究内容では、実支出額は報告した額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、平成28年度で発生した使用額を使用して主に物品費として充当し、研究を推進する予定である。
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