2017 Fiscal Year Research-status Report
組織特異的 non-coding RNA が制御する癌の病態形成メカニズムの解析
Project/Area Number |
16K11496
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
安河内 友世 (川久保友世) 福岡大学, 薬学部, 講師 (70507813)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | がん / エクソソーム / miRNA / 浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、がん細胞が分泌するエクソソーム(細胞外小胞の一種)が、がん微小環境の構築、特に浸潤・転移能を規定する重要因子を内包している可能性を同一患者由来で転移性の異なる口腔扁平上皮癌細胞株2種(非転移株SQUU-A、高転移株SQUU-B)を用いた実験により明らかにした。(Kawakubo-Yasukochi et al., J Oral Biosci 58: 33-38, 2016; Morioka et al., J Oral Biosci 58: 180-184, 2016) そこで、今年度は、SQUU-B由来エクソソームに存在する浸潤・転移能規定因子を同定するため、エクソソーム内miRNAに着目した解析を行った。miRNA-mRNAペアリング解析を行った結果、SQUU-Bのエクソソーム内に存在する浸潤誘導因子としてのmiRNA(miR-200c-3p)およびその標的mRNA(CHD9, WRN)を同定した(Kawakubo-Yasukochi et al., Mol Carcinog 57: 295-302, 2018)。さらに、標的miRNAの導入や標的mRNAのノックダウンにより、非浸潤・転移株であるSQUU-Aが浸潤能を獲得することが明らかとなった。 これらのことから、腫瘍組織内の多様ながん細胞が分泌するエクソソームには、それぞれ固有の発現パターンを示すmiRNAが内包されていること、さらにエクソソームによって運ばれたmiRNAは、標的細胞内で遺伝子発現を制御することでがんの微小環境を規定していることが示唆された。 本年度の研究成果は、各種国内学会、国際学会で発表し、高い評価を受けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りの進捗状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に得られたin vitroにおける結果を in vivoの実験系で評価する。 また、当該miRNAや標的遺伝子のmiRNA結合部位配列の異常が、ヒト口腔扁平上皮癌の予後予測因子として応用可能かどうか方向づける。
|
Research Products
(14 results)