2017 Fiscal Year Research-status Report
TAK-1を標的とした骨破壊抑制と骨形成誘導活性を併せ持った新規抗腫瘍療法の開発
Project/Area Number |
16K11504
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺町 順平 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 講師 (20515986)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | TAK1 / 癌と骨病変 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨髄腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、とりわけ広範な骨破壊を来たす骨髄腫の腫瘍進展と骨破壊・喪失をもたらす細胞内シグナルに関わる枢軸的な因子としてセリンスレオニンキナーゼTAK1を見出し、前年度は本研究課題の基軸となる結果を得ることができた。今年度は、それらの結果についての詳細な機序の解析を行い、以下の結果が得られた。 1. 骨髄腫患者の組織アレイを作成し、免疫染色でTAK1のリン酸化を検出したところ、50例中42例にTAK1リン酸化の亢進が認められた。2.TAK1阻害薬LLZ1640-2 (LLZ) やTAK1ノックダウンによる腫瘍細胞の増殖を抑制やアポトーシスの誘導は、抗アポトーシス因子であるPIM2やsp1の発現低下により引き起こされることがわかった。3. TAK1阻害により腫瘍細胞の接着分子であるβ-1インテグリンの発現が抑制された。また、骨髄間質細胞に発現するそのリガンドであるVCAM-1の発現もTAK1阻害により抑制された。これらの分子を介した骨髄間質細胞と骨髄腫細胞との接着により腫瘍細胞はCell adhesion mediated drug resistance (CAM-DR)を獲得するが、TAK1阻害薬との併用によりCAM-DRが顕著に抑制されることが明らかとなった。4.腫瘍細胞により抑制された骨芽細胞分化はTAK1阻害により回復することが前年度明らかとなったが、これはTAK1阻害により骨芽細胞分化抑制系のシグナルであるTNFやTGFシグナルを抑制化する一方、促進系のシグナルであるBMP2シグナルを亢進され、骨芽細胞分化を回復することが明らかとなった。5. 前年度においてLLZの治療効果を確認したが、組織学的解析(骨形態計測)により抑制された骨形成を回復し、骨吸収を抑制することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画での主な4つの検討事項のうち1.骨髄腫による骨吸収の亢進と骨形成の抑制におけるTAK1の分子生物学的役割の解明とTAK1の阻害の破骨細胞と骨芽細胞分化に及ぼす影響 2.骨髄腫の腫瘍進展・薬剤耐性におけるTAK1の分子生物学的役割の解明とTAK1の阻害の抗腫瘍効果の検討 3.TAK1阻害薬の骨髄腫動物モデルでの抗腫瘍作用と骨病変の進展防止・骨再生作用の検討についてははほぼ結果が得られている。一方、TAK1阻害で誘導した成熟骨芽細胞の腫瘍抑制活性の検討とその分子機序の解明については現在解析を進めており、結果も少しではあるが得られてきている。また、実際の臨床検体を用いたTAK1の発現解析も結果が得られたことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
TAK1阻害で誘導した成熟骨芽細胞の腫瘍抑制活性の検討とその分子機序の解明について検討を行う。具体的にはTAK1阻害薬で誘導した成熟骨芽細胞との共存下での、骨髄腫細胞の生細胞数とそのSP分画の割合をフローサイトメトリーにて評価する。さらに、骨髄腫細胞のエネルギー産生など細胞代謝に関連する因子であるカルモジュリンキナーゼキナーゼβ経路やPI3K/Akt /mTOR経路の活性、脂肪酸やコレステロールなどのバイオマスの合成に必要なacetyl-CoA carboxylaseやHMG-CoA還元酵素などの活性の影響を調べ、骨形成環境が生み出す腫瘍排他的ニッチに焦点をあてその分子病態を明らかにする。
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Causes of Carryover |
教室保有のものを使用したため、科研費使用金額が少額となった。したがって、次年度への繰越金が生じた。 生体におけるTAK1阻害による骨形成や骨病変抑制の詳細な機序を解析するため、繰越金は動物実験やその解析費用に充てる。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] Therapeutic impact of TAK1 inhibition on myeloma tumor progression and bone destruction2017
Author(s)
Jumpei Teramachi, Masahiro Hiasa, Asuka Oda, Hirofumi Tenshin, Ryota Amachi, Takeshi Harada, Shingen Nakamura, Hirokazu Miki, Itsuro Endo, Akihito Yamamoto, Tatsuji Haneji, Toshio Matsumoto and Masahiro Abe
Organizer
Cancer and Bone Society Conference 2017
Int'l Joint Research
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[Presentation] Therapeutic impact of TAK1 inhibition on myeloma tumor progression and bone destruction2017
Author(s)
Jumpei Teramachi, Masahiro Hiasa, Asuka Oda, Hirofumi Tenshin, Ryota Amachi, Takeshi Harada, Shingen Nakamura, Hirokazu Miki, Itsuro Endo, Akihito Yamamoto, Tatsuji Haneji, Toshio Matsumoto and Masahiro Abe
Organizer
International Society for Experimental Hematology 46th Annual Scientific Meeting
Int'l Joint Research
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[Presentation] Disruption of myeloma cell-bone marrow interaction by TAK-1 inhibition2017
Author(s)
寺町順平, 日浅雅博, 小田明日香, 天真寛文, 天知良太, 原田武志, 中村 信元, 岩佐 昌美, 大浦雅博, 前田悠作, 藤井志朗, 賀川 久美子, 三木 浩和, 遠藤 逸朗, 山本朗仁, 松本 俊夫, 安倍 正博
Organizer
第79回日本血液学会学術集会
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[Presentation] TAK1 inhibition impairs myeloma cell-bone marrow interaction to reduce myeloma tumor growth and bone destruction2017
Author(s)
Jumpei Teramachi, Masahiro Hiasa, Asuka Oda, Hirofumi Tenshin, Ryota Amachi, Takeshi Harada, Shingen Nakamura, Hirokazu Miki, Itsuro Endo, Akihito Yamamoto, Tatsuji Haneji, Toshio Matsumoto and Masahiro Abe
Organizer
American Society for Bone and Mineral Research 2017 Annual Meeting
Int'l Joint Research
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