2016 Fiscal Year Research-status Report
骨代謝因子OPG/RANKLが明示する血管内皮細胞の新しい炎症制御機構
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16K11516
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
小林 美智代 奥羽大学, 歯学部, 講師 (80316265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯貝 恵美子 東北大学, 農学研究科, 教授 (80113570)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Osteoprotegerin / RANKL / Candida albicans |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、慢性感染症による血中の骨吸収抑制因子Osteoprotegerin (OPG)濃度の上昇が、感染症の増悪に関与しているか否かを明らかにすることである。そこで平成28年度はin vivoにおける全身感染症のマウスモデルの構築とその臓器別の感染、および組織におけるサイトカインの定量法の確立を行った。 ICRマウスにテトラサイクリンを飲水させ、免疫抑制剤であるプレドニゾロンを投与したのち、口腔内よりCandida albicansを感染させ、舌、胃、小腸、盲腸および糞からの生菌数を指標に各臓器の感染量を測定した。プレドニゾロン投与群では舌、胃、小腸、盲腸共にプレドニゾロン非投与群よりも有意に高い感染量が認められた。また、プレドニゾロン投与群では高い確率で腎臓と脾臓におけるトランスロケーションが認められた。さらにプレドニゾロン投与群の臓器において、非投与群に比較してIFNγ、IL-17などのC. albicansの感染防御に関わるサイトカインの低下が認められた。また、舌に接種したC. albicansがプレドニゾロン投与群、非投与群ともに胃に定着していること、プレドニゾロン非投与群では、小腸でほとんどC. albicansが認められなかったが、投与群では高い量のC. albicansが認められたことから、プレドニゾロン投与による小腸の粘膜バリアの破綻がトランスロケーションに関与している可能性が示唆された。 今後、このマウスモデルを用い各種臓器の感染量と血中のOPG値の変化を調べていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ICRマウスにおいて、C. aclbicansを口腔内に感染させ、テトラサイクリンとプレドニゾロンを用い、全身感染症である深在性カンジダを再現性よく引きおこす条件を確立した。これは人が易感染時に口腔カンジダ症から深在性カンジダを引き起こす良いモデルとなると考えられる。また、胃や小腸などの酵素活性が高い消化器官をホモジネートして再現よくサイトカイン定量する方法を確立した。以上よりC. albicans感染によるOPG およびRANKLの作用を評価・研究する基盤が確立された。 次年度からリコンビナントRANKLを投与したICRマウスの各臓器C. albicans感染量の検討を行い、全身感染症である深存性カンジタにおけるOPGとRANKLの作用について研究を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は以下の研究を進めていく予定である。 1)リコンビナントRANKLをICRマウスの腹腔内に投与し、その後C. albicansを口腔内より感染させ、舌、胃、小腸におけるC. albicansの感染量へのRANKLの影響を検討する。 2)RANKL投与マウスの各種臓器のサイトカイン量を検討する。特にOPGに関わる炎症性サイトカインおよびIFNγ、IL-17などのC. albicansの感染防御に関わるサイトカイン、さらにディフェンシンなどの抗菌ペプチドの産生状態を検討する。 3)C. albicans感染による血中、舌、胃、小腸、糞におけるOPGとRANKL量の変化を測定し、C. albicans全身感染におけるOPG/RANKLの役割を検討する。 4)in vivoの結果に基づき、血管内皮細胞を使用したin vitroの実験を検討する。
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Causes of Carryover |
3月に注文した物品が海外在庫のため納入が4月になり残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ELISAなどの購入に使用した。
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