2017 Fiscal Year Research-status Report
標準治療抵抗性口腔扁平上皮癌における癌間質細胞を標的とした新規治療法の開発
Project/Area Number |
16K11521
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
莇生田 整治 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80296706)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 暁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (00424169)
吉川 桃子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (50570967)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 口腔扁平上皮癌 / CD44 / CD326 / CD140a / EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
セツキシマブは頭頸部がんに適応となっている分子標的薬で、切除不能口腔癌の標準治療として用いられている。しかし、著効例においてもある時期に抵抗性を獲得すると考えられ、腫瘍の根治は困難であることから、これらを補完できる治療法の開発が望まれる。われわれはこれまでに、セツキシマブ耐性腫瘍において上皮間葉転換(EMT)マーカーであるCD44vが高発現していることを解明してきた。そこで本研究では、セツキシマブ耐性口腔扁平上皮癌の癌間質・間葉系細胞に着目し、CD44vと新規間質マーカーの発現プロファイルの構築による個別化治療を目的とする。 本年度は、昨年度までに同定した上皮マーカー:CD326 (Epithelial cell adhesion molecule; EpCAM) と、間葉マーカー:CD140a (Platelet-Derived Growth Factor Receptor alpha; PDGFRα) を用いて、未分化なセツキシマブ耐性SCC細胞の解析を実施した。コラゲナーゼ処理後フローサイトメーターを用いて細胞表面マーカーの解析を実施した結果、EpCAM陽性細胞、およびPDGFRα陽性細胞中のいずれにおいてもEGFR陽性細胞が存在したが、それらはそれぞれ10%台の陽性率であった。過去の報告では頭頸部扁平上皮癌におけるEGFR陽性率は80-90%とされており、本結果はセツキシマブ耐性の性質を保持した何かしらの腫瘍関連細胞、特に異常増殖能を示す幹細胞性質を強く保持している細胞が存在する可能性が考えられた。EpCAM陽性細胞/PDGFRα陽性細胞のいずれにおいてもがん幹細胞マーカーCD44vが存在したこともわれわれの仮説を強く支持した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
どのようにn数を増やすかは課題ではあるものの、概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は症例数を増やして、昨年度までに同定した上皮マーカー:CD326 (Epithelial cell adhesion molecule; EpCAM) と、間葉マーカー:CD140a (Platelet-Derived Growth Factor Receptor alpha; PDGFRα) を用いたセツキシマブ耐性SCC細胞の解析を実施する予定である。また、将来の臨床応用に向けて、腫瘍細胞のヌードマウスへの移植およびin vivoにおける細胞動態の評価、オンコパネルによる解析も予定している。
|
Causes of Carryover |
オンコパネルや腫瘍細胞のヌードマウスへの移植、in vivoにおける細胞動態の評価の実施に高額の費用が必要となるが、研究全体の進捗状況と症例不足から昨年度はまだこれらの実験・検討を行うには時期尚早であった。昨年までに、これらを行う前に必要な他の実験を終えることができたため、今年度はオンコパネルや腫瘍細胞のヌードマウスへの移植などの実施を予定している。
|
-
[Journal Article] Recurrent spindle-cell carcinoma shows features of mesenchymal stem cells2018
Author(s)
Takehito Ouchi, Satoru Morikawa, Shinsuke Shibata, Moe Takahashi, Momoko Yoshikawa, Tomoya Soma, Hidetaka Miyashita, Wataru Muraoka, Kaori Kameyama, Hiromasa Kawana, Yoshimi Arima, Hideyuki Saya, Hideyuki Okano, Taneaki Nakagawa, and Seiji Asoda
-
Journal Title
Journal of Dental Research
Volume: 97
Pages: 779-786
DOI
Peer Reviewed / Open Access