2017 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子治療を併用したフルオロアパタイトによる新しい歯髄保護療法の開発
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16K11539
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
天雲 太一 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80451425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正敏 東北大学, 歯学研究科, 助教 (50400255)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子導入 / リン酸カルシウム / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、炎症を抑制する遺伝子治療と、結晶配列を統一させたバイオミメティクなフルオロアパタイトの形成を組み合わせた新しい歯髄保護療法を開発することである。H28年度の結果をもとにリン酸カルシウムナノ粒子を基盤としたより効率的な遺伝子導入剤を開発検証したところ、ナノ粒子最外層にオクタアルギニンもしくはプロタミンを付与することで、細胞毒性が低いまま、遺伝子導入効率が上昇することが分かった。次いで、細胞種によって導入効率が異なることから、開発した遺伝子導入剤の細胞内導入経路を検証したところ、細胞の種類によって導入経路が異なることが明らかとなった。一方、最外層にオクタアルギニンを付与した遺伝子導入剤をアミロライドで前処理した場合、骨系細胞に対してさらに高い遺伝子導入効率を示した。そこで、細胞内のpHを検証したところ、骨系細胞ではアミロライド処置前後でのpH値の変動が少ないことが分かった。この成果について、国際専門学術雑誌にて公表を行った。また、BMP-2発現plasmidを含有したリン酸カルシウムナノ粒子をハイドロキシアパタイトーコラーゲンscaffoldに配合し、生体内での遺伝子導入効果及びBMP-2徐放性について検証した。現在、その成果を国際専門学術雑誌に投稿中である。一方、フルオロアパタイトの溶解性を検討したところ、人工唾液中で拡散することから単独での使用は不可能と考え、従来のセメントに混合し、溶解性、セメントの機械的強度について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
効率的な遺伝子導入剤の開発が進み、特許申請および論文公開のための追加実験など当初予定していた以外の実験を追加した。また、この結果から予定していた一部実験を変更するなどして実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した数種類のフルオロアパタイト含有セメントの機械的強度から至適セメントを求める。その後、ラット臼歯部窩洞に精製したリン酸カルシウムナノベクターならびにフルオロアパタイトを適用し、in vivoにおける歯髄反応を組織学的、分子生物学的に比較検証する。さらに、複数の抗炎症作用を持つsiRNAや成長因子をリン酸カルシウムナノベクターに付与することで、作製材料の抗炎症作用、硬組織誘導作用について検証する。得られた結果については、国際専門学術雑誌に投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
英文校正の文字数が減少したため、予定していた英文校正額よりも請求額が少なかったため、次年度への繰り越しとなった。繰り越した額は実験で使用する消耗品の購入に当てる予定である。
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