2016 Fiscal Year Research-status Report
骨細胞の機能を利用したレーザー刺激による顎骨再生医療の開発
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16K11561
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
横瀬 敏志 明海大学, 歯学部, 教授 (90245803)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 半導体レーザー / 照射エネルギー / ラット脛骨 / インプラント / オッセオインテグレーション / 骨細胞 / 骨代謝 / 骨形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットの脛骨にチタン製のインプラントを埋入し、その後半導体レーザー(波長808nm)を照射した。照射条件はトータルエネルギー量が0J,40J,80J,120J,200Jになるように7日間毎日レーザーを皮膚の上から照射した。照射後4週間そのまま放置し、その後のチタンインプラントを脛骨から除去し、その時の除去トルク値を計測して骨形成とオッセオインテグレーションに対するレーザーの作用を評価した。また、これらの骨組織から連続切片を作成して、ヘマトキシリンーエオジン染色を行い骨形成状態を顕微鏡下で形態的に評価した。 結果として最も高いトルク値を示したのは、120Jのエネルギーでレーザー非照射の0J群に比較して平均50%の高いトルク値を示した。一方、40J,80J照射群ではやや高いトルク値は示すものの、統計学的には有意差は見られなかった。興味あることに200Jのエネルギーでは0J群に比較して有意に低い値を示した。組織学的観察からもインプラント周囲に多く新生骨が認められたのは120J群の脛骨であり、200J群の脛骨では新生骨の形成が著しく減弱していた。40J,80J群ではインプラント周囲に形成された骨組織はコントロール群と変化は見られなかった。 これらの結果は半導体レーザーの照射刺激がインプラント周囲に骨形成を誘導することが示され、その適正な条件として120Jのエネルギーが適切であることが示唆された。また、過度のレーザー照射では骨形成が抑制されることも分かった。骨組織において物理学的な刺激を認識するのは骨細胞であることが知られているが、半導体レーザー照射刺激が骨細胞に影響し骨代謝をコントロールしていることが十分に考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の最も重要な目標は、骨組織に対して骨形成を誘導する照射条件を決定することであった。半導体レーザー(808nm)は深部到達型レーザーであることから骨組織に対して、皮膚の上から照射することが可能である。従ってこれらの照射条件が決定されれば今後骨疾患モデル(骨粗鬆症)に応用する次年度からの計画に有用なデーターとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度からは、レーザーの作用のメカニズムを解析したい。その他には骨疾患モデル(OVXラット:骨粗鬆症モデル動物)を作成して、チタン製インプラントを埋入してレーザー照射してオッセオインテグレーションへの作用を調べる。また、骨細胞の機能に注目してin vivo, in vitroの両方からレーザー照射の影響を調べる。特にSclerostin,FGF23,Dmp-1の発現に対する影響を調べる予定である。
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