2017 Fiscal Year Research-status Report
骨細胞の機能を利用したレーザー刺激による顎骨再生医療の開発
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16K11561
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
横瀬 敏志 明海大学, 歯学部, 教授 (90245803)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨形成 / レーザー刺激 / 骨粗鬆症 / インプラント |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに骨細胞に対するレーザーの作用を検討する目的で、ラットの脛骨にチタン製のインプラントを埋入し、その後レーザーを照射したところオッセオインテグレーションを早める結果が得られた。使用したレーザーは半導体レーザーで、照射トータルエネルギーが120Jが最も骨代謝に作用して骨形成を促進することが示された。そこで今回はさらに超高齢者を想定して、骨粗鬆症のモデルラット(OVXラット)を作成し、同様に脛骨にチタン製のインプラントを埋入した。その後レーザーを照射し4週間放置した。照射条件はトータルエネルギー40J, 80J, 100J, 120Jで行い、照射後2週、3週、4週間後にインプラントの除去トルク値を測定し、その試料を固定して脱灰したのちにパラフィンに包埋してH-E染色を行い骨形成の形態的な観察を行った。結果としてOVX郡、Sham群ともに3週後からはレーザー照射によって有意に除去トルク値が亢進していた。また、組織学的な観察においてもレーザー照射した骨組織の方がインプラント周囲に骨形成が多く認められた。最も顕著な変化が見られたのは120Jのエネルギー量であった。これらの結果はエストロゲン欠乏状態で引き起こされる骨粗鬆症の状態においてもレーザー照射の刺激が骨形成を誘導することが示された。これまでの研究結果と照らし合わせると、レーザー刺激が骨細胞に作用して、sclerostinno 発現が減弱され、その結果骨形成が誘導されることが予想される。本研究結果は今後需要が増える超高齢者の顎骨再建ならびに口腔機能回復にレーザーが有用であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨組織においてレーザー刺激(半導体レーザー)が骨代謝に影響することを突き止めた。さらに骨粗鬆症の骨代謝にもレーザー刺激が有効であり、顎骨の再建にレーザーが有効であることが示された。平成28,29年度の予定に従い研究は進行しており、レーザーの照射条件や骨代謝に作用することが明確になった。骨補填剤の使用も計画にはあったが、これまでには使用していない。しかし、疾患モデル動物(OVXラット)を使用したインプラントとレーザー実験が行われたことから、進捗状況は概ね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は最終年度となるため、最終目的であるレーザー照射がもたらす骨形成亢進のメカニズムに迫る。骨細胞のメカノセンサーとの関係をin vivoとin vitroの両方から探る予定である。特に骨細胞が発現するsclerostinに対するレーザーの影響をin situ hybridization法、免疫組織化学的方法を用いて探り、すでに確立された骨細胞の初代培養骨細胞を用いてレーザーを照射してsclerostinをはじめとするwntシグナル関連遺伝子を網羅的に探る予定である。骨細胞がレーザー照射に敏感に反応するエビデンスを得て、論文作成に入る予定である。
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