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2017 Fiscal Year Research-status Report

新規予防的エナメル質石灰化療法の開発

Research Project

Project/Area Number 16K11563
Research InstitutionShowa University

Principal Investigator

荻野 玲奈 (田中玲奈)  昭和大学, 歯学部, 助教 (80585779)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 柴田 陽  昭和大学, 歯学部, 講師 (30327936)
宮崎 隆  昭和大学, 歯学部, 教授 (40175617)
有本 隆文  昭和大学, 歯学部, 講師 (60407393)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2021-03-31
Keywordsエナメル質 / 力学的特性 / ナノインデンター / マイクロラマン分光法 / 過酸化水素
Outline of Annual Research Achievements

健全歯エナメル質の切断試料を作成し,未処理,過酸化水素と光照射後にS-PRGから抽出した石灰化イオン溶液に浸漬し改質したエナメル質表層のリン酸基のピークシフトをマイクロラマン分光法により解析した.また,エナメル小柱の力学的特性の変化を,ナノインデンターを用いて解析した.ラマン分光法では石灰化イオン溶液処理後にリン酸基に帰属するピーク比の変化が見られた.ピーク強度比較により,既存のハイドロキシアパタイト(HAP)にイオンが置換しただけでなく,MonoclinicとHexagonalの結晶構造をもつアパタイトが新たに合成されたことがわかった.三角錐圧子を用いたナノインデンテーションでは,HAP結晶の物性を反映するよう500μNの荷重をかけると改質のStorage modulusは変化なくHAPの質は不変であった.一方,小柱間タンパク質の影響が物性に反映されるよう2000μNの荷重をかけるとStorage modulusが増加し硬くなった.また,Loss modulus が減少し粘弾性部分が少なくなり密度が増加した.球状圧子を用いて応力ひずみ曲線を得ると,オフィスブリーチ直後のサンプルは未処理に比べて降伏点強度の低下がみられたが,石灰化イオン溶液で処理した改質サンプルでは増加したことから,結晶構造が変化し降伏力が増大したと考えられる.オフィスブリーチ後のサンプルで降伏点強度が低下するため後処理によってエナメル質の力学的特性を回復する必要性が示唆された.一方,改質サンプルは,力学的特性の向上が認められた.石灰化イオン溶液はリン酸イオンやカルシウムイオンを含んでいないため力学的特性の変化はエナメル小柱に含まれるわずかな空隙の密度増加に影響されたと考えられる.弾性係数向上は,エナメル質のナノ結晶間に存在するエナメルタンパクに対してイオンが選択的に吸収された可能性が示唆された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在の再石灰化法はエナメル質のミネラル喪失部に歯の原料となるカルシウムやリンを供給し,再石灰化を促進する方法が主流である.しかし本研究による方法では,石灰化イオン溶液はリン酸イオンやカルシウムイオンを含んでいないため,力学的特性の変化はエナメル小柱に含まれるわずかな空隙の密度増加に影響されたと考えられる.さらにマイクロラマン分光法による解析で,本研究の過酸化水素を浸透させ光照射後に石灰化イオン溶液を作用させる方法では,ハイドロキシアパタイト結晶にフッ素が置換して生じるフルオロアパタイトに代表されるhexagonalの結晶構造に比較して,耐酸性に優れ,高誘電率で再結晶能が高いmonoclinicな結晶構造を生じることによりハイドロキシアパタイト結晶を改質し,力学的強度を向上させることが明らかになった.本研究により、フッ素以外のイオンによる新たな再石灰化療法が確立されようとしている.

Strategy for Future Research Activity

ヒト健全歯エナメル質に光照射を行った後,脱灰液に浸漬することにより短期間で人工的な初期脱灰病変を作成することを試みる.初期う蝕エナメルサンプルに,過酸化水素を浸透させ光照射を行った後,石灰化イオン溶液に浸漬して改質エナメル質を作成する過程で,再石灰化における最適なイオン供給の方法を検討する.脱灰から再石灰化の過程におけるエナメル質内のミネラル密度の変化を,マイクロCTを用いて引き続き解析する.またエックス線回折装置による結晶構造解析を行い,エナメル質表層の結晶構造の変化を解析する.エネルギー分散型蛍光X線分析装置により,改質エナメル質の表面にホウ素が検出されれば抗菌作用が期待されるため,抗菌試験へと移行する.抗菌試験では改質エナメルサンプル上にStreptococcus mutans を培養し抗菌試験を行う予定である.

Causes of Carryover

理由
物品費は,既存の機器で測定および解析に取り組んだので,試薬やガラス器具などの購入が見込みよりも少なかった.旅費は学会発表がなかったため生じていない.その他に関しては,今年度主に使用したマイクロCT解析ソフトのボリューム位置合わせオプション一式は,購入した場合540,000円であるが,1か月ごとのソフトウェアレンタルを採用したため購入費用を削減できた.既存のソフトウエアのオプションであったのでインストラクション費用などがかからず差額が生じたと考える.
使用計画
既存の解析用ラップトップコンピュータは電源とバッテリーに不具合が生じているため,購入予定である.物品費は,様々な再石灰化条件を検証する際に,エナメルサンプルや試薬を保存するガラス器具の購入や再石灰化試薬の購入費用,pHメーターの電極購入など消耗器具の購入,今後XRDによりホウ素が検出され抗菌試験に進めば培養器具や試薬,ミュータンス菌株の購入に充当する予定である.また,マイクロCTおよびマイクロラマンは当初の予定よりもデータの容量が膨大であったため,バックアップに充てる容量も含め既存のハードディスクでは不足しており,大容量ハードディスクの購入が不可欠であると考える.また今後もマイクロCTデータ解析の位置合わせオプションが必要であればレンタルを行う予定である.

  • Research Products

    (6 results)

All 2017 Other

All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] Auckland University of Technology(New Zealand)

    • Country Name
      New Zealand
    • Counterpart Institution
      Auckland University of Technology
  • [Int'l Joint Research] The University of Sydney(Australia)

    • Country Name
      Australia
    • Counterpart Institution
      The University of Sydney
  • [Journal Article] Nanoindentation time-dependent deformation/recovery suggestive ofmethylglyoxal induced glycation in calcified nodules2017

    • Author(s)
      Reena Rodriguez, Kentaro Yoshimura, Yo Shibata, Yoichi Miyamoto, Reina Tanaka, RisaUyama, Kiyohito Sasa, Dai Suzuki, Takashi Miyazaki, Ryutaro Kamijo
    • Journal Title

      Nanomedicine: Nanotechnology, Biology, and Medicine

      Volume: 13 Pages: 2545-2553

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.nano.2017.07.003

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] X線照射を用いた疑似的老化による硬組織の力学的特性2017

    • Author(s)
      戸部 拓馬,柴田 陽,下村 直史,周 君,Wurihan,田中 玲奈,宮﨑 隆
    • Organizer
      平成29年度秋季第70回日本歯科理工学会学術講演会
  • [Presentation] ヒトエナメル質の応力ひずみ曲線測定に適したナノインデンテーション試験法の検討2017

    • Author(s)
      下村 直史,田中 玲奈,戸部 拓馬,周 君,Wurihan,柴田 陽,島田 幸恵,宮﨑 隆
    • Organizer
      平成29年度秋季第70回日本歯科理工学会学術講演会
  • [Presentation] Nanoindentation Characterization of Regenerated Tooth Enamel.2017

    • Author(s)
      Shibata Y., Tanaka R.,Wurihan, Zhou J., Tobe T., Yamamoto M., and Miyazaki T.
    • Organizer
      7th International Conference on Mechanics of Biomaterials and Tissues
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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