2017 Fiscal Year Research-status Report
新たな歯痛治療法の確立を目指した口腔顔面痛の発症機構解明
Project/Area Number |
16K11566
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
清水 康平 日本大学, 歯学部, 助教 (10508609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 准教授 (20362238)
本田 訓也 日本大学, 歯学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (20548945) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 異所性疼痛 / 非歯原性歯痛 / 関連通 / Hyperalgesia / Allodynia / IL-1β / TRPV1 / Connexin43 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画のうち〈研究計画Ⅰ:急性歯髄炎により誘導される歯痛錯誤の末梢神経機構〉ではGlia細胞としてAstrocyte、MicrogliaおよびSatellite Glial cellにフォーカスを当て炎症後の活性変化、IL-1β、IL-1RA、TRPV1およびConnexin43の発現変化を免疫組織学的に検索した。またカニューレを用いてこの領域に各種阻害薬あるいは拮抗薬を直接微量投与し、口腔顔面領域に対する機械、熱あるいは化学刺激により誘発される逃避行動閾値変化および筋放電量の増減を記録し解析した。また〈研究計画Ⅱ:咬筋痛に誘導される歯髄痛覚過敏発症の中枢神経機構解明〉では電気刺激により過収縮により咬筋痛モデルラットによる歯髄痛覚過敏メカニズムの解明を行った。以上2つの計画を遂行させ、異所性口腔顔面痛の発症メカニズムを総合的に解明することを目的とした。平成29年度は〈研究計画Ⅰ〉にて⑥三叉神経節の活性型Satellite glial cellおよびConnexin43の共発現の検索および⑦Connexin43阻害薬による歯髄炎による異所性痛覚過敏抑制効果の検索を行い、良好な結果を得た。また〈研究計画Ⅱ〉にて⑧三叉神経脊髄路核の細胞活性の検索および⑨三叉神経脊髄路核におけるアストログリア活性阻害薬の効果を検索し、同様に良好な結果を得た。これらの結果を、「歯髄炎後の顔面組織の異常感覚におけるTRPV1の役割」、「咬筋過収縮モデルラットでの歯髄痛覚過敏発症機構における延髄部アストログリア内グルタミン合成の役割」「異所性歯痛発症におけるIL-1β調節性ニューロン-グリア相互連関の役割」「三叉神経節における衛星細胞内コネキシン43発現は歯髄痛覚過敏発症に関与する」といった内容で4編の論文にまとめ、論文投稿した。このうち3編は受理され、1編は査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までのデータを総括し、4編の論文投稿を行い、現行で以下3編において掲載受理を受けている。よって〈研究計画Ⅰ:急性歯髄炎により誘導される歯痛錯誤の末梢神経機構〉および〈研究計画Ⅱ:咬筋痛に誘導される歯髄痛覚過敏発症の中枢神経機構解明〉も研究計画に沿って概ね順調に進行していると考えられる。 1.Involvement of transient receptor potential vanilloid 1 channel expression in orofacial cutaneous hypersensitivity following tooth pulp inflammation (2018). J Oral Sci, 24;60(1):8-13, doi: 10.2334/josnusd.16-0854. 2. Role of medullary astroglial glutamine synthesis in tooth pulp hypersensitivity associated with frequent masseter muscle contraction (2018). Mol Pain, doi: 10.1177/1744806918763270. 3.Komiya H, Shimizu K, Noma N, Tsuboi Y, Honda K, Kanno K, Ohara K, Shinoda M, Ogiso B, Iwata K (2017) Role of Neuron-Glial Interaction Mediated by IL-1β in Ectopic Tooth Pain. J Dent Res, 97(4):467-475, doi: 10.1177/0022034517741253.
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Strategy for Future Research Activity |
今回、研究遂行しているにあたり、上記モデル、とくに歯髄炎発症モデルにおいては、三叉神経節内でマイクログリアの有意な発言も認められ、これもまた、歯髄炎発症時の異所性疼痛発症に深く関与していることが明らかとなった。今後は、マイクログリアをはじめ、Toll-like receptor 4等の関与を検索してく予定である。また、このような研究成果が、新しい診査診断法を生み出し、今まで診断困難あるいは治療不可とされていた患者が、異常疼痛から救われている事実を社会に広く発信するために、学生や歯科医療関係者に対する学術誌や教科書等の執筆活動を行う。また全国各地で歯科医師を対象とし“研究成果と症例報告を融合した講演会”を設定し、診断に対する意識改革活動を行う予定である。また、医療を専門としない国民が本疾患への理解を深めるために、商業誌、メディアあるいは患者向けの講演会を設定し、国民の貴重な血税のもとに成り立つ本成果を広く社会に発信していく。
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Causes of Carryover |
(理由) 当時計上していたラット数よりも少ない頭数で研究を遂行することができた為と考えられる。また、当初計上していた金額よりも少ない金額で英文校正ならびに論文投稿ができたことも理由として挙げられる。 (使用計画) 研究計画を遂行するにあたり、歯髄炎発症時における口腔顔面痛覚過敏発症には、マクロファージおよびTLR4発現の関与も考えられるため、本年はこれらにフォーカスを絞り検索していく予定である。よって繰越額および当該年度請求額は上記の抗体やラット購入に適用する予定である。また、当初の予定よりも順調に研究遂行できているため、平成30年度に遂行した研究成果でさらなる論文作成を行う。繰越額および当該年度請求額はこれら英文校正料および論文投稿料においても適用する予定である。
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