Project/Area Number |
16K11571
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
茂木 眞希雄 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (00174334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 あや美 (近藤史実) 愛知学院大学, 薬学部, 助教 (70301629)
尾関 伸明 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70469005)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 象牙芽細胞 / 骨芽細胞 / 脱細胞化 / 擬態マトリックス / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, ヒト骨格筋幹細胞由来高純度間葉系細胞の脱細胞化した間葉系細胞擬態マトリックス上にマウスiPS細胞を播種し, 間葉系細胞の再細胞化の効率について生化学的手法(細胞生育性, アポトーシス, RT-PCR or qPCR法による遺伝子解析, 蛍光免疫染色, ALP染色, アリザリンレッド染色, ウエスタンブロット法, プロモーターassay, FACSによる細胞表面抗原解析と細胞接着能と細胞運動能の解析など)を用いて基礎的検討を行うことを目的とする.新規に確立したヒト骨格筋幹細胞由来高純度間葉系細胞(象牙芽細胞,骨芽細胞, 軟骨細胞)を培養後に界面活性剤を灌流して, 間葉系細胞由来の脱細胞化した細胞外マトリックス(間葉系細胞擬態マトリックス3種類)を作成し, ヒト骨格筋幹細胞を用いて間葉組織の再細胞化の効率と適正条件を, 下記の方法にて検討する. 1) 間葉系細胞擬態マトリックスの精製:通法に従い, ヒト骨格筋幹細胞から高純度間葉系細胞を分化誘導後, 10% Triton-X(界面活性剤)にて処理後, エタノールを用いて界面活性剤の洗い流しを行い, 間葉系細胞擬態マトリックス3種類の作成を行う. またSDS, Tweenなどの界面活性剤も用い,精製条件の最適化を検討する. 2) 間葉系細胞擬態マトリックスの再細胞化の効率の検討①精製した間葉系細胞擬態マトリックス上にヒト骨格筋由来幹細胞を播種し,細胞増殖能,細胞接着能および細胞運動能について適正条件の検討を行う.②細胞の間葉系擬態マトリックス上での形態学的変化を光学顕微鏡下で観察する.③石灰化能をALP染色とアリザリンレッド染色により観察するb).④細胞表層タンパクintegrinの発現をフローサイトメーターを用いて観察する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度研究計画の中で根幹となる実験の大半は,以下のように進展している. ①ヒト骨格筋幹細胞由来高純度象牙芽細胞,骨芽細胞, 軟骨細胞3種の分化誘導系ならびに培養条件を確立した. ② ①の3種の分化細胞に界面活性剤(Triton-X)を灌流することで, 脱細胞化細胞外マトリックス3種類を作成を試み,作成ならびに精製条件を確立した.これら擬態マトリックス3種とヒト骨格筋由来幹細胞を組み合わせて培養する事で,間葉系細胞擬態マトリックスの再細胞化の検討を行い,以下の興味深い知見を得た③擬態マトリックス3種は、コラーゲンtype1、ファイブロネクチン、ラミニンの組成が各々異なる特異パターンを示す事を明示した ④3種擬態マトリックス上にヒト骨格筋由来幹細胞を播種し, 3種の異なる最適細胞分化条件にて培養した結果, 象牙芽細胞由来擬態マトリックスにて培養した場合は象牙芽細胞, 骨芽細胞由来擬態マトリックスでは骨芽細胞、軟骨細胞由来擬態マトリックスでは軟骨細胞が高頻度で得られる事を確認した.⑤各々の擬態マトリックスにより得られた分化細胞はいずれも,骨関連細胞の特性である石灰化能を示した.⑥擬態マトリックスにより得られた分化細胞は、各々の骨関連分化マーカーの検討(一部)により,象牙芽細胞,骨芽細胞,軟骨細胞である事を,ほぼ確認した.⑦細胞表層タンパクintegrinの発現をフローサイトメーターを用いて観察したところ,象牙芽細胞ではα1integrin, 骨芽細胞はα2integrin,軟骨細胞ではα5integrinの特異的発現を確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降研究計画 今年度の結果をふまえて間葉系細胞擬態マトリックスとヒト骨格筋幹細胞を用いた間葉系組織への分化メカニズムについて生化学的手法を用いて, 下記の方法で詳細な基礎的検討を行う.1) 間葉系細胞擬態マトリックスとヒト骨格筋幹細胞を用いた間葉系細胞分化の評価 ①間葉系細胞擬態マトリックス上に細胞を播種し, 経時的に total RNAを抽出し, 神経堤細胞マーカー(FoxD3, Sox10), 神経前駆細胞マーカー(Notch-1, Nestin), 象牙芽細胞分化マーカー(DSPP, Enamelysin(MMP-20)), 骨牙芽細胞分化マーカー(osteocalcin, osteopontin), 軟骨細胞分化マーカー(COL2A1), 血管内皮細胞マーカー(Flk-1, VE-cadherin)の遺伝子発現動態をRT-PCR法を用いて観察する. ②間葉系細胞分化マーカー(DSP) の発現動態を免疫染色法にて観察する.
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Causes of Carryover |
本報告書に記載したように,研究進捗状況は概ね,順調に進捗している.しかし,所属研究室が薬学部生体機能化学講座から薬学総合教育講座に転籍したことにより,新たに研究環境を構築しなければいけないことから,研究機器の選定と発注,納入,ならびに特殊試薬の発注などに若干の遅れがある.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究環境は構築されつつあり,当該研究計画に基づき問題なく研究は遂行可能である.よって今年度の予算消化は問題なく行えると考える.
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