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2016 Fiscal Year Research-status Report

新規根管細菌検査法についての基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 16K11573
Research InstitutionOsaka Dental University

Principal Investigator

山根 一芳  大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (40388369)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsバイオフィルム / 難治性根尖性歯周炎 / 細菌検査 / 病原性 / 遺伝子発現
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、根尖性歯周炎の難治化を検査する新規のマーカーを得ることを目的として、既に申請者らがバイオフィルム形成株として報告しているロシア・ミューシラジノーサのバイオフィルム形成遺伝子の同定を試みた。本菌は、難治性の根尖性歯周炎病巣から分離され、全ゲノム配列が決定されており、遺伝情報を利用することができる菌株である。データベースに登録しているゲノム配列の遺伝子情報を元にマイクロアレイをデザインし、バイオフィルム形成状態と非形成状態の菌体からRNAを抽出後、マイクロアレイとRT-PCRを用いて遺伝子発現の差を比較した。その結果、いくつかの遺伝子がバイオフィルム形成時に上昇することが明らかになった。これらの遺伝子は、バイオフィルム形成に何らかの作用をしていると考えられ、バイオフィルム形成菌による根尖性歯周炎の難治化を検査するマーカーの候補になる可能性がある。これらの成果の一部はInternational Association for Dental Researchにて学会発表し、論文公表した。
上記の研究と並行して、さらなるマーカー開発の一助とするため、根尖性歯周炎から波及した骨膜下膿瘍から分離したアクチノマイセス・オリス、ストレプトコッカス・コンステラタスのバイオフィルム形成株の全ゲノムシークエンシングを試みた。その結果、アクチノマイセス・オリスでは6つのスーパーコンティグを、ストレプトコッカス・コンステラタスでは2つのスーパーコンティグを得ることができた。また、臨床で用いることのできる細菌の検出法を開発することを目的としてガラスキャピラリーを用いた根管モデルを作製し、このモデル上で、手用ファイルで採取した根管先端部の細菌の検出を試みた。その結果、検出方法としてリアルタイムPCR法の応用が有効であることを見出すことができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新規根管細菌検査法を確立するため、本研究ではバイオフィルム形成細菌に対する新規検査マーカーの開発と、それを用いることのできる遺伝学的な根管細菌検査法の検討を二本の柱として計画している。今年度、新規検査マーカーの開発では、難治性根尖性歯周炎から分離したバイオフィルムを形成するロシア・ミューシラジノーサをモデル細菌としていくつかの候補遺伝子を同定し、学会発表することができた。今回同定できた候補遺伝子は当初の予測より数が少なかったが、既に他の細菌でもバイオフィルム形成関連遺伝子として重要であることが報告されているものが含まれており、マーカーの候補として妥当性が高いと考えている。
また、リアルタイムPCR法を用いた根管内細菌の検出法の検討は、多くの細菌で保存されている遺伝子配列を用いた予備実験の段階ではあるが、根管内細菌の存在を検出可能であることを明らかにすることができた。さらにガラスキャピラリーを用いた根管モデルを用いることにより、実際の臨床で応用することができる検査法を検討することができていると考える。これらの成果から概ね当初の計画通り研究を進行することができていると判断した。

Strategy for Future Research Activity

今年度、バイオフィルム形成細菌の検出マーカーの候補として同定できた遺伝子の数が少なかった。しかし、新たに骨膜下膿瘍から分離したアクチノマイセス・オリス、ストレプトコッカス・コンステラタスのバイオフィルム形成株の遺伝子配列の大部分を得ることができたため、今後、全配列の決定、遺伝子のアノテーションを進め、これらの菌株の遺伝子発現をRNA-seqなどの手法を用いて明らかにすることで、検査マーカーの候補遺伝子を増やすことができると考えている。さらに、講座には他にも口腔感染症から分離したバイオフィルム形成菌株があり、これらの菌株についてもゲノムシークエンシングにより配列を決定する予定である。
また、遺伝学的な検査法の検討では、ガラスキャピラリーを用いた根管モデル上で数日間培養した菌株を使用することで、バイオフィルム形成状態でも細菌の検出が可能かどうかを調べ、より臨床に即した条件での検出を目指す予定である。

Causes of Carryover

アクチノマイセス・オリスとストレプトコッカス・コンステラタスのバイオフィルム形成株のゲノムシークエンシングの費用が、関係機関の協力により当初の予定より大幅に少なかったため

Expenditure Plan for Carryover Budget

講座で保存している他のバイオフィルム形成臨床分離株のシークエンシング費用として併せて使用の予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 静置培養時と振盪培養時のRothia mucilaginosaの 遺伝子発現の比較2016

    • Author(s)
      古森 賢、山根一芳、王 宝禮
    • Journal Title

      歯科医学

      Volume: 79 Pages: 53-61

    • DOI

      http://doi.org/10.18905/shikaigaku.79.2_53

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] Gene expression of biofilm-forming Rothia mucilaginosa isolated from apical periodontitis.2017

    • Author(s)
      Yamane K, Kai P Leung, Yamanaka T
    • Organizer
      95th General Session and Exhibition of the International Association for Dental Research
    • Place of Presentation
      Moscome West Building (San Francisco, Calif., USA)
    • Year and Date
      2017-03-22 – 2017-03-25
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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