2017 Fiscal Year Research-status Report
二相性担体での血球系細胞および口腔粘膜細胞の再分化による歯髄・象牙質複合体の再生
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16K11574
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
好川 正孝 大阪歯科大学, 歯学部, 客員准教授 (70148451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 博史 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (00274001)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄細胞 / 口腔粘膜細胞 / 血液細胞 / 生理活性物質 / nodule / 幹細胞 / 再分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fischer 344ラットから採取した口腔粘膜細胞を初代培養して順調に粘膜細胞が増殖し、分離・増殖の方法が確立できた。一方、末梢血中から付着細胞を得るための培養を行ったが石灰化物(nodule)形成実験を実施できる数の細胞を得るために相当の期間が必要であった。骨髄細胞の培養法は確立した。 初代培養後の骨髄細胞では、デキサメタゾン(Dex)およびβ-グリセロフォスフェイト(β-GP)を添加した継代培養で9日後に石灰化物であるnoduleが沈着した。一方、Fischer 344ラット口腔粘膜から得た細胞を初代培養で増殖させたのちに継代培養してDexおよびβ-GPを添加、培養したがnoduleは形成されなかった。 インスリン様成長因子(IGF-β)を皮下注射したFischer 344ラットから採取した口腔粘膜細胞にDexとβ-GPを添加して継代培養したところ、わずかにnodule形成が認められたが、骨形成性蛋白質(BMP)の皮下注射後の口腔粘膜細胞ではnoduleは形成されなかった。また、1、10、50μM/mLの濃度のIGF、BMPそしてDexを単独または組み合わせて培養液に添加して粘膜細胞および血液由来細胞を培養した結果、DexとIGF との組み合わせでの培養液への添加で濃度依存的に粘膜細胞にわずかなnodule形成が誘導された。 歯科領域では身体に侵襲を加える骨髄からの幹細胞採取は困難で、幹細胞を得る手段には制限がある。そのために、血球系細胞や口腔粘膜細胞から硬組織あるいは骨形成に関わる幹細胞を得る手段を確立することが極めて重要と考える。しかし、血球系細胞および粘膜細胞から幹細胞への再分化と硬組織形成とが実現できていない。 なお、粘膜細胞および血液由来細胞をKluver-Barrera染色して、神経細胞あるいは血管内皮細胞への再分化を示す結果は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Fischer 344ラットから採取した口腔粘膜細胞を初代培養して、順調に増殖させることが可能になり、分離・増殖させる方法が確立できた。口腔から粘膜細胞を得ることがこの研究の第一歩と言える。さらに、粘膜細胞を用いてnodule形成がわずかでも認められたことは本研究の目的である口腔内での硬組織形成性細胞を得るセルソースの確立につながる。粘膜細胞が外胚葉系であることを考えると粘膜下組織細胞がnodule形成に関与した可能性があるが、それにしても硬組織再生のためのセルソースを得ることになる。 一方、末梢血中から付着細胞を得るための培養を行ったが石灰化物であるnoduleの形成実験を実施できるだけの多数の細胞を得るために相当の期間を要した。細胞の増殖を促進させる方法として培地の改良あるいは促進因子のスクリーニングが必要である。血中細胞の培養が確立できれば、硬組織形成性細胞への分化誘導は比較的容易であると考える。骨髄細胞の培養法は確立しており、骨などの硬組織形成はすでに実現している。 したがって、最終的に二相性担体を用いた硬組織形成実験の実施が可能になったと考え、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
多孔質ハイドロキシアパタイトの担体に口腔粘膜細胞あるいは抹消血細胞を播種してin vivoでの担体内硬組織形成の実験を実施する。 末梢血細胞を増殖させるための培養には骨髄細胞に比較して相当の長期間が必要であり、in vitroでの試験のために必要な数は得られた。しかし、in vivoでの担体に播種する細胞数を得ることが困難で、末梢血細胞のより速やかな増殖を実現しなければ迅速な実験ができない。
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Causes of Carryover |
生じた次年度使用額は多額とは言えず、また、助成金額を超えての支出はするべきでないと考えていた。必要な試薬あるいは実験動物を絶えず購入し続けており、無理に年度内に支出するより、次年度の助成金に合算して支出する方が有効であると考えた。 実験動物を購入して細胞を採取するとともにin vivoの実験を行い、細胞の分化誘導のためにサイトカインの購入に多額の助成金を支出しなければならない。骨形成の確認のためにオステオカルシン定量キットが必要で、交付される助成金の30%に上る額をこのキットに充てる予定である。さらに、細胞培養のための支出が大きく、ウシ胎児血清、培地および培養プレートなどの細胞培養用プラスチック器具に助成金の40%余りを充てなければならない。 国際学会での成果発表の旅費および参加登録費の支出が見込まれ、国際誌への論文投稿のために英語校正費および投稿費の支出が必要である。
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Research Products
(1 results)