2016 Fiscal Year Research-status Report
非感染性に惹起されるインプラント周囲骨吸収病態の分子生物学的探索
Project/Area Number |
16K11585
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石橋 実 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40231138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江草 宏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30379078)
山田 将博 東北大学, 歯学研究科, 講師 (90549982)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Occlusal Overloading / Saucerization / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 骨細胞 / インプラント周囲組織 / 免疫染色 / 脱灰切片 |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラント補綴は必要不可欠な欠損補綴治療の一つであるが,荷重後のインプラント周囲骨吸収が臨床的問題となっている.インプラント周囲骨吸収には,細菌感染であるインプラント周囲炎だけでなく, Occlusal Overloadingといった非感染性骨吸収の存在も報告されている.しかし,それらの病態は解明されていない.本研究の目的は,非感染性インプラント周囲骨吸収の動物実験モデルとインプラント埋入試料を用いた分子生物学的分析を可能とする組織切片作製法を確立し,非感染性インプラント周囲骨吸収の分子生物学的機構を探索することである. 研究初年度である本年度は使用するインプラントの表面性状が細菌付着性に与える影響を培養試験で検証した。平滑面(機械研磨面)、ミクロ粗面(酸処理面)および細菌よりも細かい凹凸部を持つ実験的ナノ粗面のチタンディスク上でStapylococcus aureus 209P株をBrain heart infusion培養液中で2時間培養したところ,実験的ナノ粗面上の付着細菌数は平滑面およびミクロ粗面上よりも少なく,それら値の30%以下であった。また、24時間培養し5分間振とう後の残存細菌数を評価したところ、ミクロ粗面は平滑面の約2倍であったが、実験的ナノ粗面は平滑面と同程度であった。振とう後の表面を走査型電子顕微鏡で観察すると,ミクロ粗面上では凹部に細菌が適合するように固着し凝集塊を形成していた。一方、実験的ナノ粗面上では、平滑面と同じように、表面上に少数のコロニーが点在しているだけであった。Staphylococcus sanguis ATCC 10556株培養でも類似した結果が得られた。 さらに、ラット口腔内に埋入するチタンミニインプラントの形状を決定し、その埋入術式の確立と骨結合の成立を確認した。また、各種表面処理が応用可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インプラント表面性状は骨結合を促進させるとともに細菌感染の感受性に影響を与えるため、本年度行ったインプラント材料の細菌付着性の検証はインプラント周囲組織の非感染性骨吸収を研究する上で重要である。本年度の結果から、骨結合能は低いが細菌感染しにくい平滑面、骨結合能は高いが細菌感染しやすいミクロ面および骨結合能は高くかつ細菌感染しにくいナノ粗面Aの三種類のインプラント材料を判別し、本研究に使用できるようになった。そのため、次年度以降に、骨結合の質と細菌付着性を考慮した非感染性インプラント周囲骨吸収研究モデルの構築が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット第一大臼歯抜歯後にミニインプラントを埋入し、骨結合後、上部構造装着しないものと過荷重を加えたもの、それぞれ非脱灰切片および脱灰切片を作製し、周囲骨吸収の有無や組織反応を形態学的に評価する。また、免疫組織学的染色を行い、アポトーシスと炎症状態の評価を行う。
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Causes of Carryover |
必要な試薬の発送が遅れ次年度へと繰越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の使用計画に組み込み試薬等の物品費の一部として充てる予定である。
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