2016 Fiscal Year Research-status Report
感染・汚染劣化防止機能を有した抗菌性医療用人工皮膚の開発
Project/Area Number |
16K11591
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
阿部 泰彦 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (00253097)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 久美子 岡山大学, 大学病院, 助教 (90631581)
岡崎 洋平 広島大学, 病院(歯), 助教 (00706898)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 顎顔面補綴学 / 抗菌剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,顔面,耳介等のエピテーゼや義指,義手,義足,人工乳房等のソマトプロテーゼに応用される人工皮膚材料として,超軟質ウレタン樹脂に着目した。また,長期間使用による汗・汚れ・材料劣化に起因する皮膚感染の予防目的で新規無機系抗菌剤「塩化セチルピリジニウム(CPC)担持モンモリロナイト」を応用し,物性,抗菌性,安全性及び耐劣化性について検証することで,「感染・汚染劣化防止機能を有した抗菌性医療用人工皮膚の開発」を目指している。ここで,抗菌成分であるCPC は,医薬品・化粧品などの分野で広く応用されており,その安全性は確認され,黄色ブドウ球菌,溶血レンサ球菌,真菌,う蝕・歯周病菌に対して効果を有するとされる。 平成28年度は,超軟質ウレタン樹脂への新規無機系抗菌剤CPC担持モンモリロナイトの最適添加量を決定するため,添加量2,5,10,15重量%の試料を作製し,黄色ブドウ球菌及びカンジダ菌に対する抗菌性試験(JIS Z 2801参照)を行った。その結果,黄色ブドウ球菌においては,接種0日目では5重量%以上,1日目及び7日目では2重量%以上で菌は検出されなかった。また,カンジダ菌においては,1日目及び7日目では2重量%以上で菌は検出されなかった。よって,2及び5重量%添加試料についてさらに検証し,物性に影響を与えず抗菌性を発現する最適添加量を決定することとした。 平成29年度の目標は,CPC担持モンモリロナイトを最適量添加した試料について,nonGLP細胞毒性試験(OECDガイドラインTG439/皮膚刺激性試験専用三次元培養ヒト皮膚モデル使用)により安全性を,紫外線促進劣化試験により耐久性を検証し,試作抗菌性人工皮膚の仕様を決定する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規無機系抗菌剤の超軟質ウレタン樹脂への最適添加量を2又は5重量%に絞り込め,平成28年度の目標はほぼ達成できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,新規無機系抗菌剤を2又は5重量%添加した試作抗菌性人工皮膚について,物性を確認した後,nonGLP細胞毒性試験による安全性及び紫外線促進劣化試験による耐劣化性を検証する予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度の成果である新規無機系抗菌剤を2又は5重量%添加した試作抗菌性人工皮膚について、次年度に外注試作を予定しており、その経費捻出のために節約したから。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の試験に供する2種類の試作抗菌性人工皮膚は、量産ベースでの安定した製品化を目指すため外注試作する。これらの外注試作品について試験を実施する予定である。
|