2017 Fiscal Year Research-status Report
生体内で確実に骨増生効果を示す顎骨MSCを識別し得る特異的マーカーの探索
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16K11605
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鎌下 祐次 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 客員研究員 (90224641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
石井 正和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00456683)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生医療 / 骨再生 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎骨骨髄中に存在する間葉系幹細胞(MSC)は腸骨由来MSCと同等かそれ以上の骨分化能を有し、歯槽骨の増生を図るための有望なセルソースと考えられる。一方、顎骨MSCの生体内での骨増生能にはバラつきがあるため、細胞移植前に骨増生のポテンシャルを予見することが重要である。しかし、現時点で生体内での骨増生能を判定する有効なマーカーがない。細胞移植治療において、移植部位に十分な血管の導入が行われなければ、いくら骨分化能の高い細胞を移植しても生着せず目的の効果は得られないという事実から、今回我々は血管新生の重要性に着目し、顎骨MSCから分泌される血管新生因子の発現パターンを解析することによって、生体内で確実に骨増生効果を示す顎骨MSCを識別し得るか検証することを目的とする。 鹿児島大学病院臨床研究倫理委員会の承認を得て、H29年度は6例のインプラント埋入患者において、インプラント埋入直前に溢出する骨髄液を顎骨より採取し、MSC培養を試みた。6例中3例は顎骨髄液播種後、細胞の増殖が認められなかった。培養に成功した3例においては、継代培養を行い、得られた細胞を用い代表的な血管新生因子であるVEGFおよびbFGF遺伝子発現比較を行った結果、各ロットによって血管新生因子発現パターンが異なることが判明した。次に、血管新生因子発現パターンと骨再生効果の相関性を評価するために、得られた細胞をβ-TCPと混和し、SCIDマウス頭頂骨部への移植を試みた。しかしながら、細胞とβ-TCPを混ぜアテロコラーゲンで固める方法では、均質な移植体の作製が困難であり、移植効果にバラツキが生じた。そこで、新規の移植体作成法の開発に取り組み、アテロコラーゲンを使用せず均質な移植体の作製に成功した。現在、新規作成法によって作製した移植体をSCIDマウスへ移植し、骨増生能と血管誘導能について評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
顎骨由来MSCの培養成功率が依然低いこと、さらに採取される骨髄液が非常に少量のため、目的の実験に用いるために必要な細胞数を確保するため、長期培養により細胞を増殖させる必要があり、この過程に非常に時間を有する。また、今年度は、顎骨由来MSCとβ-TCPを混和した移植体を作製し、骨再生効果と血管新生因子発現パターン解析を行うことを目標としていたが、均質な移植体作製法の開発に時間を有し、そのため当初の計画からは遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
顎骨由来MSCの培養成功率を上昇させるため、細胞培養皿や血清等の変更も含めて、培養条件の再検討を行う。顎骨MSCから分泌される血管新生因子はプロテインアレイ解析を用いることによって網羅的に解析を行い、解析の効率化を図る。また、H29年度に新規に開発した移植体作製法によって作製した移植体をマウスへ移植し、骨再生能と血管新生能との関連性を速やかに明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度予定していたSCIDマウスを用いた移植実験が計画通りに実行できず、当初予定していた実験動物購入費用を使用できなかったため。また、細胞培養にかかる消耗品の使用が当初の予定よりも少なかったため。 (使用計画) 実験動物の購入および、細胞培養に必要な物品一式の購入によって適切に使用する。
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