2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of maintenance of learning and memory by mastication
Project/Area Number |
16K11608
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
豊下 祥史 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20399900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會田 英紀 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (10301011)
川西 克弥 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (10438377)
佐々木 みづほ 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (70638410)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90186669)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 咀嚼 / BDNF / CREB |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は咀嚼が大脳皮質のニューロンの活性化にどのような影響を与えているかを検討するために、咀嚼後のモデル動物の脳全体を約3mm間隔で冠状断でスライスし、断面を観察したが、神経細胞内へのカルシウムの流入、すなわち神経細胞の活動が認められた領域に一定の法則は認められなかった。そこで、今年度は矢状断および水平断によるスライスについても検討を行った。しかしながら冠状断と同様規則性は認められなかった。 また、平成29年度の結果から、短時間の咀嚼が大脳皮質内で学習記憶機能の促進と関連のあるCREBおよびBDNFのmRNAの発現を上昇させることを確認した。そこで、今年度は、咀嚼による上記遺伝子発現の促進に局在があるかどうかを調べるために、短時間の咀嚼を行ったモデル動物および行わなかったモデル動物から摘出した大脳皮質を左右に分割しさらにそれらを前方、中央、後方の計6つブロックに分割し、同様の計測行った。その結果、両群の上記の遺伝子の発現に有意な差を認めなくなった。咀嚼によるCREBおよびBDNFのmRNAの発現促進効果は大脳皮質の特定の場所で起きているわけではないことが明らかとなった。 さらに、咀嚼の長期的な効果を検討するために、液体飼料または固形飼料による長期飼育を行い咀嚼を行わないモデルと咀嚼を行うモデルの2群を作製し、両者における学習記憶機能に関わる遺伝子発現の相違について検討を行った。なお、両飼料の栄養成分は同等のものを使用した。中枢神経系の発達や修復に必要なコレステロール輸送に関与するApoEについては、両群に差を認めなかった。同遺伝子の発現は咀嚼を行ったモデル動物で高い傾向を示したが、その差は、短時間の咀嚼直後の計測結果より明確ではなかった。CREBおよびBDNFのmRNAは咀嚼直後に発現の促進を認めたが、その発現の促進は常に持続されているわけでなない可能性が示唆された。
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