2017 Fiscal Year Research-status Report
歯周組織の治癒を促進する無機系バイオアクティブセメントの開発
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16K11623
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
騎馬 和歌子 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (10523087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 正則 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (00337164)
北川 晴朗 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50736246)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 保存修復学 / 無機セメント / イオン溶出 / ガラスフィラー / バイオアクティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度までに得られた結果に基づいて、Al(OH)3、CaCO3、Na2CO3、SiO2、Al(PO3)3を原料として作製したCaO-Al2O3-SiO2系ガラスのレシピをもとに、CaOの半分をSrO2に置き換え、1500℃まで温度が上げられる炉を用いて、ガラスの作製を試みた。しかし、各原料の重量比や溶解条件の調整等を試みたものの、昨年度と同様、十分にガラス化した組成物を得ることはできず、さらに粉砕可能な硬さに調整することができなかった。 そこで、ガラスの原料を当初の予定から大きく変更する必要があると判断し、我々が過去にガラス化に成功したレシピを参考にして、Na2O、CaO、SrO、SiO2、P2O5からなるガラスを作製し、作製したガラスを市販のグラスアイオノマーセメントに配合して、改めて試作セメントとしての各種特性を検討することとした。我々は、この試作セメントから、Sr2+やCa2+などの金属イオンの溶出が生じやすいことをすでに確認していたが、それらのイオン溶出に伴ってセメントの物性が大きく低下することを危惧していた。そのため、今年度は、CaO、SrOの重量比の異なる3種のガラスを配合したセメントを試作し、試作セメントの圧縮強さ、曲げ強さ、およびビッカース硬さを評価して、セメントとしての物性を検討することとした。その結果、いずれの試作セメントにおいても、試作ガラス非配合のコントロールセメントと同等の圧縮強さ、曲げ強さ、およびビッカース硬さを有していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述のように、当初予定していた原料とは異なるが、Sr2+やCa2+を溶出し、臨床使用可能な物性を備えた試作セメントの調製に成功した。しかしながら、試作セメントの細胞増殖・分化・石灰化に及ぼす効果を検討する実験を開始したところで、十分な成果は得られていない。 以上のことから、本研究の進捗は、やや遅れていると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に得られた結果に基づいて、試作したセメントの細胞増殖・分化に及ぼす効果を検討する。細胞は、マウス由来の骨芽細胞様細胞であるMC3T3-E1を使用し、MTTアッセイとALP活性測定を行う。また、アリザリンレッドによる染色と細胞および形成された石灰化物が含有するカルシウム量の測定を行い、石灰化を評価する。
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Causes of Carryover |
上述のように、今年度は試作セメントの細胞増殖・分化・石灰化に及ぼす効果に関する実験を十分に実施できていないため、その評価に係る試薬、消耗品の購入が少なかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、それらに関わる培地や試薬、器材を購入する。また、これらの研究遂行に係る消耗品は、上記の研究計画に則り必要性を吟味し効果的に使用する。
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Research Products
(1 results)