2016 Fiscal Year Research-status Report
バイオミメティクスに基づく高機能ジルコニアインプラントの開発
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16K11629
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河野 博史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (20507165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 聖史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (50250791)
有川 裕之 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (90128405)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジルコニア / 焼成温度 / 低温劣化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はジルコニアインプラント体に生体模倣能を付与するための基礎データを取集する目的で、以下の研究を主として行った。 イットリア安定化型ジルコニア(Y-TZP)の焼成温度が機械的特性に与える影響について検討を行った。ZENO(Wieland製),Aadva(GC製),InCoris(Sirona製)の3種類のジルコニア(Y-TZP)板を使用した。ZENOは長さ50.05mm,幅5.04mm,厚さ1.523mmの板を,Aadvaは直径17.5mm,厚さ0.625mm,InCorisは直径17mm,厚さ0.625mmの円板を使用した。焼成温度は1350℃,1450℃,1500℃で2時間,1550℃で3時間行った。製作した試料に,ⅰ)分光透過率計にて光透過率と波長分布の測定を行った。ⅱ)オートクレーブで134℃,5-60時間の処理後,X線回折,ビッカース硬さ測定およびSEM観察を行った。ⅲ)ISO-6872に準拠して2軸曲げ試験を行った。 1350℃の焼成温度の試料では,オートクレーブ処理の時間が増加しても単斜晶への変態は認められなかったが,1450℃以上の試料では,時間の増加に伴い単斜晶含有量の増加が認められた。また,InCorisおよびZENOにおいても同様の傾向が認められた。ビッカース硬さ測定の結果は,2軸曲げ試験の場合と異なり,1450℃以上の温度で焼成したAadva,InCorisおよびZENOのいずれにおいても,オートクレーブ処理によって硬さが低下する傾向が認められた。また,オートクレーブ処理の時間による差は認められなかった。本実験より,歯科用Y-TZPでは,ブロック体焼成温度の影響はきわめて大きく,焼成温度が高いとオートクレーブ処理による低温劣化が著しく生じ易くなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画において当該年度における研究内容は、1.ガラス層処理条件の検討、2.基板強度の測定であったが、基板強度の測定の進捗に対し、ガラス層処理条件の検討が実施できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当該年度の研究結果を踏まえた上で、研究計画に則して1.生体適合性の評価、2.体内埋入後に生体活性層が生成する方法の検討、を進めていくこととする。基板の強度に関連して、高透過型の歯科用ジルコニアの材料特性を詳細に検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
試料作製時の効率を高めるために既存の研磨機に自動研磨装置を追加する計画であったが、支給された助成金額では、既存の研磨機に純正の自動研磨装置を購入するには予算が不足していたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初購入を予定していた自動研磨装置の代替となるような、試料作製の効率を高める機材を購入する予定である。
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Research Products
(1 results)