2018 Fiscal Year Research-status Report
モノマーが生体防御系細胞に生じさせる酸化ストレスと傷害の評価及び防御法の探索
Project/Area Number |
16K11630
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
平 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (60179398)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯科用モノマー / トリエチレングリコールジメタクリレート / THP-1 / 単球 / グルタチオン / 解毒 / 抗酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)歯科治療ではレジンの残留モノマーが歯髄や軟組織へ傷害を惹起することが懸念されている。同時に細菌感染の問題が存在し、グラム陰性菌の外毒素であるLPSの傷害性が重畳する。本研究では、2官能性のモノマー(TEGDMA)とLPSの単球(THP-1細胞)に対する単独および交差傷害性を炎症性と酸化ストレスの遺伝子発現の観点から検討した。2.5mM濃度の(IC50)TEGDMA刺激4時間と24時間では抗酸化NQO1遺伝子の発現がそれぞれ8倍と81倍増加し、アルド-ケト還元酵素AKR1C1の遺伝子発現は3倍と11倍増加し、グルタチオン酸化酵素GPX3の遺伝子発現は1倍と26倍増加した。従って、単球がTEGDMAを解毒・排出し、同時に酸化ストレスを低下させる活動が確認された。炎症性サイトカインの遺伝子発現は小さかった。一方、ラストにLPS4時間と24時間の刺激が重畳すると、抗酸化NQO1の遺伝子発現がそれぞれ42倍と51倍増加し、アルドーケト還元酵素AKR1C1の遺伝子発現は6倍と7倍増加し、グルタチオン酸化酵素GPX3の遺伝子発現は24倍と22倍増加した。また、炎症性サイトカイン関連の遺伝子発現も大きく、IL1Bでそれぞれ28倍と20倍増加し、IL6で3倍と2倍増加し、TNFaで6倍と8倍増加した。臨床上、モノマーの残存を減らし、口腔内環境を清浄化しLPS刺激を避けることが必要と考えられた。 (2)単球のDNAマイクロアレイ解析から、LPS4時間刺激に対してTEGDMA24時間LPSラスト4時間刺激ではグルタチオン酸化酵素GPX3の遺伝子発現は5倍増加し、他方、グルタチオン還元酵素GSRの遺伝子発現は4倍増加していた。解毒と抗酸化の反映と考えられた。 (3)TEGDMAが単球に作用した際のグルタチオンの細胞内挙動を蛍光顕微鏡で観察することを試み、若干の成功を得たが像は不明瞭であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の理由により、補助事業期間の延長を希望している。 1. モノマー(TEGDMA等)の細胞内での代謝機構を解明するため、グルタチオンとモノマーとのconjugateを蛍光標識しマクロファージ内での局在を明らかにする実験に成功していない。 2. モノマーによって産生誘導された活性酸素種(ROS)が惹起するマクロファージ内での炎症性サイトカインと抗酸化ストレス蛋白の発現の評価も十分行えておらず追試が必要。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)モノマー(TEGDMA等)の細胞内での代謝機構を解明するため、グルタチオンとモノマーとのconjugateを蛍光標識しマクロファージ内での局在を明らかにする. (2)LPSがマクロファージ(フォルボールエステル誘導THP-1)に及ぼす影響を細胞生存率、遺伝子発現、炎症性サイトカイン産生および蛋白発現から検討する。LPSがマクロファージを活性化する機構は詳細に(例えば、Toll-like receptor伝達系が)報告されている反面、モノマーとLPSの二重の作用がマクロファージの起炎性に及ぼす影響については不明な点が多い。異なるpathway(例えば、生体防御を司るNrf2 pathway等)についても遺伝子発現、蛋白発現、酵素測定等から検討する。特に、Nrf2は親電子性試薬や活性酸素の刺激によりKeap1分子による抑制から逃れて核移行し、解毒酵素や抗酸化酵素群の遺伝子発現を活性化することから、モノマーとLPSがNrf2活性化に及ぼす相互作用について詳細に検討を加える。 (3)モノマー単独作用下およびLPSとモノマーの二重作用下でのマクロファージの細胞内傷害作用(酸化ストレス傷害、炎症性サイトカイン傷害、モノマー分解産物傷害)を明らかにした上で、これらの傷害作用を緩和軽減する処理(anri-oxidantや抗生剤応用等)について検討を加える。ここでは、MAPキナーゼpathwayのある部分を止める薬剤の応用等が想定される。 (4)以上の研究を総括し、モノマーを使用する歯科治療時の細胞組織傷害性を理解した上で(歯髄や口腔軟組織に対する)傷害に関して、診断法や治療法に新しい知見を提供する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究が完了しておらず延長した1年分の研究費を残した。総額は379,903円である。 使用明細(予定):研究消耗品(試薬等)で20万円程、論文投稿料(オープンアクセス代)として18万円程を使用する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Loading of fluvastatin onto gelatin-coated titanium implants.2018
Author(s)
Takemoto S, Sasaki K, Sugawara S, Saitoh S, Sawada T, Taira M, Tanabe K, Yoshinari M, Hattori M, Jansen JA, Leeuwenburgh SGG.
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Journal Title
Key Engineering Materials
Volume: 782
Pages: 233-237
Peer Reviewed
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