2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation on oxidative stress and damage of body-defense-cells caused by monomers and consideration of protective methods
Project/Area Number |
16K11630
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
平 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (60179398)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯科用モノマー / トリエチレングリコールジメタクリレート / 単球 / グルタチオン / 炎症性サイトカイン / 解毒 / 抗酸化 / THP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)モノマー(TEGDMA等)のTHP-1細胞(単球)内での代謝機構を解明するため、モノマー作用時のグルタチオンの存在を試薬によって蛍光標識し、グルタチオンの細胞質内での局在を明らかにした。モノマーとのconjugateとの蛍光標識は成功しなかった。グルタチオンへのモノマーの修飾が蛍光色素の立体配位を妨害したからと考えられた。 (2)IC50濃度のTEGDMAモノマーがLPS刺激THP-1細胞(単球)の薬物代謝系と炎症免疫系に関する遺伝子発現を定量PCRによって評価した。その結果、TNF、IL1B、IL6の炎症性サイトカイン遺伝子と炎症シグナル伝達分子NFKB1の発現量はLPS4時間刺激で極大化し、LPS24時間刺激でも持続することが判明した。IC50濃度のTEGDMAモノマー刺激はLPSによる炎症関連遺伝子の発現量を著しく減少させることも判明した。一方、薬物還元酵素であるAKR1C1遺伝子、抗酸化に作用するNQO1とSELM遺伝子やグルタチオンの還元、包接と薬物代謝に関係するGPX3とGST4A遺伝子の発現量が経時的に増大していた。LPS刺激が加わっても、これらの遺伝子の発現量は維持されていた。以上のことから、THP-1単球はTEGDMAモノマーを細胞内で一部分解、還元し、さらにグルタチオンの包接によって細胞外排出すると考えられた。グルタチオンの消費は細胞内の酸化ストレスを亢進し、酸化ストレスにより細胞障害が生じ細胞死や増殖の停止をもたらすと考えられた。LPS刺激による炎症性反応はTEGDMAモノマーにより抑制され、細胞障害は低下するものと思われた。 (4)モノマーとLPSがNrf2活性化に及ぼす相互作用については知見が得られなかった。 (5)モノマーによる口腔組織への為害性の減少については、細胞内でグルタチオンを補充することが有効と考えられ、薬物投与法の開発が期待された。
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Research Products
(3 results)