2016 Fiscal Year Research-status Report
3Dプリンターによるブリッジパターンの製作と寸法精度に関する研究
Project/Area Number |
16K11638
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
宮坂 平 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40147773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 有祐 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (10609449)
青木 春美 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (50150925)
石田 祥己 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (50779923)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CAD/CAM / 3Dスキャン / 3Dプリンター / ブリッジパターン / 鋳造 / 寸法精度 / 積層造形 / 光学印象 |
Outline of Annual Research Achievements |
今後の発展が予測されるCAD/CAM技術として3Dプリンターの歯科応用を目指し、積層造形法を用いた成形法により作製したブリッジの寸法精度について検討を行うことを目的として研究を行った。 この目的を果たすため、スキャナによるデジタル印象採得を行い、印象精度についての検討を行った。次いで、CAD/CAMソフトによる設計を行い、3Dプリンターによりパターンを作製し、この時点での寸法精度を調べ、続いて鋳造を行い鋳造物の寸法精度を調べ、これらの寸法精度について検討するという一連の研究を行う。本年度は、1歯欠損ブリッジ用のマスター金型を作製し、これを用いて3Dスキャナ(DAVID)によるデジタル印象を試みた。しかし、金属の反射による影響で模型全体のスキャンが困難となった。このため、マスター金型をシリコーンゴム印象材により印象採得し、石膏模型を複製した。これらの模型複製を4回行い、これらの模型について3Dスキャナーによる光学スキャンを行った。同時にデジタルノギスによる模型の測定を行い、光学スキャンから得られたSTLデータとデジタルノギスによる計測から得られた寸法精度データの比較を行った。 この結果、高さ方向ではスキャナのスペックを上回る精度が得られたが、水平方向の寸法精度は100μmのオーダーであり精度に問題があることが明らかとなった。この精度に関しては、STLの再構築法や距離測定法などの問題が考えられるため、現在、この解決法について検討し、水平方向の寸法精度を向上させるべく、ソフトの改良に取り組んでいる。また、今後は、マスター金型からレジン系模型材で作製した模型を用いて実験を進める予定である。この模型について、スキャンデータと比較するため、接触式の3次元座標測定器にて測定したデータとスキャンデータとのマッチングを調べ、スキャン方法やソフトの改良を試みて測定精度を向上させる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の予定では、一歯欠損の模型を3Dスキャナによりスキャンし、得られたデータをCAD/CAMソフトにより3Dプリンティング可能なSTLデータに変換し、積層造形(熱溶融式と光造形法)によりブリッジパターン(⑤6⑦)を作製し、鋳造まで実施する予定であった。しかし、金型のスキャン時にトラブルに見舞われて、当初予定より実験が進捗しなかった。理由は、スキャナ本体が海外製品であり、発注後の生産のため納品まで多大な時間を要したことに加え、金属製金型のスキャン時に金属光沢による光の映り込みにより3次元スキャンが正常に行えないというものであった。このため、金属光沢を抑えるための二酸化チタン粉末の噴霧等も考えたが、寸法精度という点からはあまり好ましくないと考え、金型の材質を変更することとした。本年度は石膏により模型を複数個作製し、これらの模型をスキャンすることにより金属光沢の影響を取り除き、これによって得られたSTLデータと実測値の比較を行った。しかし、スキャンによる精度をデジタルノギスでの実測値と比較した時、水平方向の寸法精度に若干の低下が認められ、この解決法を検討するため、多くの時間が費やされる結果となった。水平報告の寸法精度を上げるためには、スキャン方法を変更するなどの必要があり、既存の3Dスキャナとの寸法精度について比較する必要があると考えられるため、次年度はまず、寸法精度の高い3Dスキャン法について確立する予定である。当初の予定より大きく遅れているが、精度の高いスキャンデータを得ることが出来れば、これ以降は、問題なく当初予定の研究を進めることが可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
スキャナの精度向上のため、スキャンする模型の材質、スキャナのソフトの改良などが挙げられる。まずは、これらの条件を吟味して、精度の高いスキャンシステムを構築することを最初の予定とする。次いで、歯科に導入されているスキャナの精度とも比較しつつ、スキャンデータの信頼性について検討を行う。スキャンから得られたデータを用いて、3Dプリンティングを行う方法としては、現有の熱溶融式と光造形法式、およびインクジェット式の3種類を用いてブリッジパターンの作製を行う。このパターンの段階での寸法精度を明らかにしたうえで、埋没材の種類、混水比、ライニングなどの埋没条件を変化させて鋳造体を作製し、鋳造精度を検討する。これらのプロセスでそれぞれの段階での寸法精度が明らかとなることにより、例えば、スキャンデータから積層造形用のSTLデータを作製する段階で寸法補正を行うことにより、適合性に優れたブリッジの製作が可能となる。 これらを明らかにしたうえで、2歯欠損のブリッジについて、同様のスキャン条件、STL作成条件、鋳造条件での検討を中心に適合性に優れたブリッジの製作条件を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究が予定より遅延し、スキャナの設定の段階で多大な時間を要したため、本研究の成果を学会で発表するまでに至らなかった。このため、発表に要する費用の余剰金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、インクジェット式の3Dプリンターを追加として研究内容に加えたため、この3Dプリンター使用料の一部に充当する予定である。これにより、研究内容の一層の充実が図れるものと期待される。
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