2016 Fiscal Year Research-status Report
フッ素化アパタイト膜生成による高齢者根面う蝕への革新的予防・治療法の実用化研究
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16K11642
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤塚 亮 東北大学, 歯学研究科, 助教 (10586514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60374948)
厨川 常元 東北大学, 医工学研究科, 教授 (90170092)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | FHA粒子合成 / FHA成膜最適条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ素徐放性と歯質再石灰化能を有するPJD法を応用した機能性コーティング法の開発を目標として、本年度はこれまでのハイドロキシアパタイト(HA)粒子にフッ素を添加させたフッ素化アパタイト(FHA)粒子合成方法と、その最適成膜条件を模索した。 FHA粒子は、試薬(100mM Ca(CHCOO)2H2O溶液、60mM Na2H2PO4溶液、1.3 M CH3COONH4緩衝溶液)を使用して得られた沈殿物を乾燥、焼成し、粉砕機カウンタジェットミル(ホソカワミクロン株式会社)と分級機エルボージェット(株式会社マツボー)を使用して粒子形態にして合成した。SEM、XRD、EDXにて形態分析・組成分析を実施した結果、FHA粒子および一部フルオロアパタイトの生成が認められた。多種の粒子が共存することにより成膜性に影響を与える可能性が示唆されたため、FHA粒子のみを合成するため緩衝溶液の濃度を変化させ1M CH3COONH4を使用して合成した結果、安定したFHA粒子合成に成功した。 上記で得られたFHA粒子を使用し、ヒト抜去歯平面上に成膜後、非接触型3次元形状測定機(NH-3、Mitaka Kohki, Co)およびSEMにて成膜面を評価した結果、噴射加速圧0.5MPa、供給圧0.5MPa、成膜距離3mm、成膜角度90°、ノズル走査速度2mm/secで約50マイクロメートルの成膜が可能であった。同条件で成膜したHA膜厚は約60マイクロメートルであることから、成膜性はやや劣るものの、接着強度測定結果、硬度測定結果はHA膜と比較して有意差が認められなかった。 以上の結果より、上記のFHA合成方法ならびにPJD装置による噴射条件がFHA成膜最適条件であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画は、FHA粒子合成およびFHA成膜の最適条件の確立である。 当初設定した試薬ではFHA粒子以外にフルオロアパタイトの生成が認められたが、1MのCH3COONH4緩衝液を使用することで、効率良くFHA粒子が合成できることが明らかとなった。 また、ヒト抜去歯平面上への成膜では、これまでHA成膜時に設定した噴射条件と同条件で均一な成膜層が認められ、形態的、機械的特性の優れる成膜面が得られた。 以上より、研究計画通りに順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究実施計画としてFHA膜の機能性と安全性を検討する予定である。0.1M乳酸緩衝液を脱灰液として使用し、定量的光誘導蛍光法により脱灰面積、脱灰深さ、総脱灰量測定を行うことで、耐酸性能を評価する。また、イオンメーターを用いて溶出したフッ素イオン量を測定することで、フッ素溶出量を評価する。 平成30年度には、単施設、非盲検の試験デザインで探索的臨床試験を予定している。歯髄炎を伴わない根面齲蝕を有する被験者男女20名を対象とし、PJD法によるFHA成膜を行い、処置前、処置直後、1、4、12週後を評価期間として、歯髄症状の有無、齲蝕発生の有無を評価する。
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