2018 Fiscal Year Research-status Report
硬組織再生療法を併用した新規接着システムの臨床応用に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
16K11645
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大竹 志保 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50549946)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 浩佑 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (00507767)
吉田 恵一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60240280)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 接着 / プライマー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、歯科におけるCAD/CAMシステムの発展は目覚ましく、より良い品質の補綴物を作り出すことが可能になった。またこのCAD/CAM技術により、二ケイ酸リチウムガラスセラミックスや長石系ガラスセラミックス、リューサイト系ガラスセラミックス、チタン、ジルコニア、Polyetheretherketone(以下PEEK)材そしてコンポジットレジンなどの様々な異なる種類の材料を用いた歯冠修復物や補綴物などの複雑な加工、成形が可能となった。歯科用CAD/CAMシステムの導入によって近年注目されている材料の一つにコンポジットレジンがある。日本におけるCAD/CAM用コンポジットレジンは、2014年に、小臼歯部の歯冠修復として保険適応され、急速に普及した。しかしCAD/CAM用コンポジットレジンは高温、高圧下にて生成されるため未重合層が存在せず、レジンセメントとの接着が容易ではなく、ブロック表面の十分な前処理が必要であると言われている。また、PEEK材は優れた生体適合性や機械的特性を持ち, 耐熱性や高温特性にも優れ, 化学的にも非常に安定した材料であり、その非常に高い安定性により十分な接着は困難である。その他のメタルフリー修復材料も科学的に安定しており、接着については困難な状態であるが、これらの歯科材料を臨床において使用するためには確実な接着が求められる。我々は過去にジルコニア、ナノジルコニアなどのCAD/CAM用歯科材料を含むメタルフリー修復材料について表面処理条件、接着システムについて評価を行ってきた。本年度は各種歯科用CAD/CAM材料であるCAD/CAM用レジンブロック、PEEK、新規加圧成形型セラミックスについての更なる有効な接着システム、または表面処理条件を検討し、引張接着強さの評価を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
優れた生体適合性や機械的特性を持ち, 耐熱性や高温特性にも優れ, 化学的にも非常に安定した材料であるPEEK材はその非常に高い安定性により十分な接着は困難であるが, 歯冠修復の臨床においては確実な接着が求められる. そこで本実験では, フィラー含有量を変化させた試作PEEK材のレジンセメントに対する引張接着強さについて比較検討を行った.被着体はフィラー含有量20 %, 40 %, 50 %の試作PEEK材を試験対象とし、 引張接着強さを測定した.これらの結果により, PEEK材はフィラー含有量 の増加に従い, 良好な接着強さを得られることが示された。 新規加圧成形型セラミックスに対する接着性レジンセメントの引張接着強さについて比較検討を行った.被着体には新たに開発されたプレス用リチウムシリケートガラスセラミックスを使用した.接着性レジンセメントとして,Panavia V5,リライエックスアルティメットセメント,ジーセムリンクフォースを用い,5℃-55℃を1サイクルとしたサーマルサイクル0回,10000回後に引張接着強さを測定した.その結果、PV、GLはRUと比較して有意に高い値を示した。サーマルサイクル間での比較ではPVとRUにおいてサーマルサイクル0回は10000回と比較して有意に高い値を示した.セメント間での比較ではサーマルサイクル0回、10000回、ともにPVとGLがRUと比較して有意に高い値を示した. 以上のように2018年度は機械的物性の評価方法の確立、また新たな歯科材料に対する組成の検討を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究課題はほぼ予定通り進展しているが、研究成果の発表が遅れている。本研究内容にかかわる論文を投稿する。
|
Causes of Carryover |
研究課題はほぼ予定通り進展しているが、研究成果の発表が遅れている。本研究内容にかかわる論文を投稿するため、補助事業の延長を申請した。延長額は論文の投稿費用として使用予定である。
|
Research Products
(1 results)