2018 Fiscal Year Research-status Report
低出力パルス超音波が歯周外科後の創傷治癒に与える効果
Project/Area Number |
16K11655
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
大塚 秀春 明海大学, 歯学部, 助教 (10271230)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田部 一大 明海大学, 歯学部, 講師 (00526551) [Withdrawn]
石井 麻紀子 明海大学, 歯学部, 助教 (00637986)
申 基てつ 明海大学, 歯学部, 教授 (40187555)
林 丈一朗 明海大学, 歯学部, 准教授 (50337507)
辰巳 順一 明海大学, 歯学部, 准教授 (60227105)
林 鋼兵 明海大学, 歯学部, 助教 (90777880)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 創傷治癒 / 歯周外科 / LIPUS / 歯周形成外科 |
Outline of Annual Research Achievements |
【動物実験】Wistar 系ラット(雄性,8週齢)の口蓋部の粘膜に実験的粘膜欠損を形成し、LIPUS を照射した。実験群は、非照射群、1 回照射群、および 3回照射群の3群とし、実験期間は14日間とした。肉眼的形態観察による評価では、術後 14日の 1 回照射群、および 3回照射群の創傷面積の縮小率は、非照射群と比較して高い値を示した。1 回照射群、および 3回照射群の頬口蓋方向の最長径は、非照射群と比較して縮小を示した。疼痛に与える影響の評価は、非照射群,1 回照射群,および 3回照射群の口蓋の創傷部周囲の疼痛の反応を調べた。本実験では,疼痛の反応には明らかな違いは観察できなかった。組織形態学的評価では、LIPUS 照射群は、上皮の増殖、軟骨の再形成などの所見がみられた。以上の結果から、LIPUS 照射は、遊離歯肉移植術における口蓋部供給部の治癒の促進に有効である可能性が示唆された. 【臨床実験】 遊離歯肉移植術およびフラップ手術後の患者の術後1日に術野にLIPUSの照射を行い、抜糸時、および術後4週時に評価を行った。他の部位に同様の術式で歯周外科手術を行った患者に対するGOHAIによるアンケートの結果から、患者のQOLについては改善する傾向がみられたが疼痛の抑制には変化がみられなかった。LIPUSの照射は、骨折の治癒を促進するために広く応用されており,LIPUSの照射がインプラントのオッセオインテグレーションを補強するとする報告もある。本研究のように歯周外科手術後の軟組織に対して適用した臨床研究は少ない。本研究では,LIPUSの照射の介入によって患者が得られる利益は限定的であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
全般的に遅れている。共同研究者の退職による組織の変更や、別の研究者の海外留学などもあり、研究のための十分な時間が取れていない。本研究の遂行のために、平成30年度末に1年間の期間延長願を提出して受理されている。【動物実験】手技の習熟と術式の規格化および組織学的評価の条件決めなどにより、動物実験は当初の予定より時間を要した。当初の実験計画からLIPUSの照射条件や評価までの期間等に変更点が生じている。実験条件にも変更があり、現在のところ、手技の不揃いなどから予定のn数に達していない群があり統計学評価には至っていない状態である。 【臨床実験】研究の特殊性から十分な被験者が得られていない。対照群を置かない複数の応用例を示した症例報告をによる公表を含めることも考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
【動物実験】動物実験では不足分を早急に補填して、統計学的評価を行う予定である。得られたデータを公表する予定である。 【臨床実験】現在までの被験者数は不足している、当初の計画ではスプリットマウスデザインで同じ被験者に実験側と対照側を設けることを想定していたが対象者が集まらなかった。LIPUS照射の介入によって、一定の利益が得られることについては裏付けがないが、複数回の手術を行う患者に対して、照射と非照射を分ける場合には不利益を感じさせてしまい、理解を得られない場合もあった。そのことから片側に行う外科手術も症例として加えるようにしている。 臨床研究から、LIPUSの治療効果を明らかにするためには、多施設による無作為臨床研究が必要であるものと考えるが、振動する器具を用いて照射することから、プラシボとして扱うことも、被験者に対してブラインドにすることも困難であると思われる。臨床実験に関しては一例でも多くの症例を集めることを優先して考えている。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた研究旅費の計上がなくなったことと。 実験の計画を1年間延長したために次年度の使用額が生じた。 実験動物および研究の備品購入に充てる予定である。
|