2018 Fiscal Year Research-status Report
窒素含有ビスフォスフォネートの炎症壊死作用:リン酸トランスポーターの関与
Project/Area Number |
16K11672
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 康男 東北大学, 歯学研究科, 学術研究員 (50005039)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | bisphosphonate / 炎症 / 顎骨壊死 / etidronate / clodronate / LPS / IL-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Bisphosphonates (BPs) は骨の破骨細胞に取り込まれて骨吸収抑制作用を発揮する.BPsには窒素含有BPs (N-BPs) と窒素非含有BPs (non-N-BPs) がある.N-BPsは,骨吸収抑制作用は極めて強く,広く用いられている.しかし,N-BPsには発熱・消化管傷害・顎骨壊死などの副作用がある.特に顎骨壊死は増加しており予防治療の確立が緊急課題である.私達はマウスでの実験により,N-BPsの炎症壊死作用が感染により増強されること,また,2013年には,N-BPsがリン酸トランスポーターを介して破骨細胞以外の細胞内に取り込まれ,non-N-BPs (etidronateとclodronate) はこの取り込みを抑制して炎症壊死を予防することを薬理学的実験により示した.2016年には,non-N-BPsが神経リン酸トランスポーターの抑制により鎮痛効果を示すことを報告し,2017年には分子レベルでこれを支持する結果を得た. 以上を背景に2018-9年においては,以下を報告した.(1) N-BPsと細菌成分LPSは,炎症性サイトカインIL-1・IL-1・IL-18の産生を相互に増強し,non-N-BPのclodronateはこれを抑制する (Funayama et al., 2019).(2) Non-N-BPのetidronateは,痛みの伝達物質ATPの神経小胞への取り込みに関与するリン酸トランスポーターを抑制して強い鎮痛効果をもつ (Yamagata et al., 2019).(3) N-BPs初回点滴投与後の発熱に,LPSとN-BPの相互作用で産生されるIL-1が関与し,clodronateがこれを予防する可能性をマウス実験で示す (Suzuki et al., 2019).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は,N-BPsによる炎症性副作用の機序の解明と non-N-BPsによる予防と治療の可能性を探ることにあり,2016-9の期間において,N-BPsの炎症作用は感染で強く増強されることが,炎症性cytokine,ヒスタミン合成酵素,LPS受容体などに関する種々の実験で確認された.また,N-BPsがリン酸トランスポーターを介して細胞内に取り込まれ,non-N-BPsの clodronateとetidronateがこの取り込みを抑制することが,岡山大学との共同研究によっても確認され,また,東北薬科大学との共同研究により,non-N-BPsが神経でのリン酸トランスポーターを抑制して鎮痛効果を示すことも示された.Non-N-BPsの臨床応用に大きなインパクトになると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で行った以下の研究成果は未発表であり,現在,論文の投稿準備中である.(i) N-BPとLPSは相互作用によりLPS受容体の発現を増強する.この発見は,N-BPsによる顎骨壊死に口腔細菌が関与するメカニズムの解明に重要であり,論文として発表しなければならない.(ii) N-BPsとLPSの共存による持続性炎症にヒスタミンが関与する.この発見は顎骨壊死の治療に役立つ重要な発見であり,やはり,論文にしなければならない.(iii) N-BPsの炎症性副作用とnon-N-BPsによる予防治療に関するこれまでの研究成果の和文総説.現在,多くの一般歯科医が顎骨壊死に関心を持っている.しかし,現時点での研究状況が十分把握されているとは言い難い.その意味で,この総説の役割は極めて重要である.
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Causes of Carryover |
本研究で行った以下の研究成果に関する論文が未発表であり (投稿準備中),その投稿料や英文校正料が必要なため. (i) N-BPとLPSは相互作用によりLPS受容体の発現を増強する.(ii) N-BPsとLPSの共存による持続性炎症にヒスタミンが関与する.(iii) N-BPsの炎症性副作用とnon-N-BPsによる予防治療に関するこれまでの研究成果の和文総説.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Effects of zoledronate on local and systemic production of IL-1, IL-18, and TNF- in mice and augmentation by lipopolysaccharide.2019
Author(s)
Funayama H, Tashima I, Okada S, Ogawa T, Yagi H, Tada H, Wakita R, Asada Y, Endo Y.
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Journal Title
Biol Pharm Bull
Volume: 42
Pages: 929-936
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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