2016 Fiscal Year Research-status Report
自己iPS細胞由来間葉系幹細胞による顎骨壊死治療法の検討
Project/Area Number |
16K11675
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西澤 悟 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00646200)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅輪 幸世 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10769912)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30344451)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 薬剤性顎骨壊死 / iPS細胞 / 細胞治療 / 再生医療 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)は骨粗鬆症治療薬剤ビスホスホネートなどの投与下で抜歯などの侵襲的歯科治療を受けた後に発生する疾患であり、治療法は未確立である。骨壊死部では骨芽細胞が減少し、骨リモデリングが破綻する。間葉系幹細胞(MSC)の細胞療法は、骨壊死部に生着したMSCが骨芽細胞の供給源となるだけでなく、MSCがホストに残存する骨の細胞の活性を促進する因子の供給するため有効な治療法と期待されている。しかし、MSCは純化・単離方法が確立されていない上に、培養により急速に脱分化して細胞特性を失うので、本来の治療効果が発揮されていない可能性がある。そこで本研究ではiPS細胞からMRONJ治療効果の高い高品質なMSCを作出し、MRONJの病態を模倣したモデルマウス(MRONJモデルマウス)に投与して、この治療法の有効性を実証することを計画している。 本年度は、①MRONJモデルマウスの作出方法の検討、②マウスiPS細胞からのMSCの作出方法の検討をおこなった。①については、6週齢の雌性C57BL/6マウスにゾレドロン酸注射液 125 μg/kg、デキサメタゾン注射液5 mg/kgを週2回腹腔内投与し、初回投与から3週間後に麻酔下で上顎第一臼歯を抜歯する。以降も薬剤投与は継続し、抜歯2週および7週の時点で抜歯部のマイクロCT撮影および組織学的評価をおこなった。その結果、薬剤投与群では抜歯部周辺の顎骨に骨膜反応や壊死骨と見られる所見が高頻度に観察された。これはMRONJの病態を良く再現していた。②についてはフィーダー細胞上で維持培養した未分化マウスiPS細胞をゼラチンコート培養皿に移し、10%FBS化αMEM培地で連続継代培養した。このときの培養条件(継代回数・播種細胞数)を調節することで、性質の異なる数ロットのMSC様細胞を作出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MRONJモデルマウスの作出法は国際的に標準化された方法が確立されていない。つまり作成条件(投与する薬剤の種類や量、併用薬の有無など)は施設ごとに異なる。そこで報告されている複数の方法でBRONJモデルマウス作出をおこない、本研究に最適なMRONJモデルマウス作出法を選択する検討をおこなった。その結果、安定してMRONJ病変が出現する方法、手技を確立することができた。iPS細胞由来MSCの誘導もおおむね計画通り進行しており、来年度はMRONJモデルマウスを用いたMSCの細胞治療効果を検討する段階に進めることから、おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
MRONJモデルマウスの抜歯直後にiPS細胞由来MSC尾部静脈から投与する。別個体のGFPトランスジェニックマウスから採取・培養した骨髄由来MSCの投与群およびsaline投与群をコントロールとする。移植後6 、24 時間、3、7、10、14、30日の時点で生体イメージングおよびマイクロCT撮影、および血液検査をおこない、移植細胞の傷害部位への集積性および顎骨壊死の病変進行度、血清中の炎症マーカー値(IL-10, IL-6, IL-17, CRP)を評価する。30日後に安楽死させ、口腔粘膜ごと一括切除した上顎骨の組織学的評価(H.E.染色による壊死性骨領域測定、TRAP染色による成熟破骨細胞活性評価、GFPを指標としたホスト/ドナー細胞の識別)を行い、マイクロCT所見とあわせて評価し、MRONJに適するiPS細胞由来MSCの効果を確認する。
|
Causes of Carryover |
効率的に消耗品類を調達することに努め、試薬類を計画時より安価で購入できたため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
生体イメージング関連試薬等の購入費用に充てる予定である
|