2017 Fiscal Year Research-status Report
羊膜の組織修復作用と骨再生能に着目した新規培養歯根膜由来細胞シートに関する研究
Project/Area Number |
16K11695
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
雨宮 傑 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (90398389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 哲也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10613573)
山本 俊郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40347472)
金村 成智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70204542)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯学 / 移植・再生医療 / 再生医学 / 細胞・組織 / 臨床 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は,歯周組織再生に有効な新規培養細胞シートを開発することである.羊膜は抗炎症,感染抑制を有し,さまざまな細胞の培養基質としての有用性・有効性が注目されている生体材料である.羊膜上培養歯根膜由来細胞(PDL細胞)シートの組織修復作用および骨再生能についてのメカニズムを解明するために,同培養シートにおける歯周組織再生に関わる因子について探索を行った. 羊膜上にてPDL細胞を3週間の培養を行い,羊膜上培養PDL細胞シートを作製した.上記にて得られた培養PDL細胞シートに対してDNAマイクロアレイ法による網羅的遺伝子発現解析,ならびにELISA法によるタンパクの定量測定を行った.なお,対照群はPDL細胞とした. マイクロアレイにて歯周組織再生に関与する遺伝子解析を行ったところ,PDL細胞と比較して羊膜上培養PDL細胞シートにて, SDF-1/CXCL12,CXCL14,およびIGF-1の各遺伝子が強発現しており,real-time PCRによる定量解析においても発現量増加を示していた.また,CXCL14,IGF-1においてタンパクの高発現が認められた. SDF-1/CXCL12とCXCL14は互いに作用し,様々な種類の間葉系幹細胞の遊走に重要な役割を果たすケモカインとされる.なかでも,SDF-1/CXCL12はPDL細胞で合成・分泌され,間葉系幹細胞の凝集を誘導することで歯根膜の再生と修復に関与すると考えられている.また,IGF-1は骨芽細胞の分化・機能に関与し,歯周組織の再生を促進する増殖因子とされる.本研究にて羊膜上培養PDL細胞シートはこれらの遺伝子の強発現および発現量が増加していたが,タンパクの高発現までを認められたのはCXCL14,IGF-1のみであった.今後,SDF-1/CXCL12のタンパク発現については,移植実験などによる検討が必要と考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
羊膜上培養歯根膜由来細胞シートおよび歯根膜由来細胞に対して、組織再生・修復に関与する増殖因子などの発現について、そのメカニズムを解明するために、マイクロアレイ法にて網羅的に遺伝子発現を比較検討、ならびにreal time PCR法を用いた定量分析を実施しており、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
羊膜上培養歯根膜由来細胞シートのマイクロアレイによる遺伝子解析、ならびにreal time PCR法を用いた定量分析を行った結果,歯根膜由来細胞(対照群)と比較して、各種成長因子やケモカインの産生を促す研究データが得られた。よって、羊膜が歯根膜由来細胞のへの増殖・分化を誘導するシグナル(成長)因子の産生に影響を与える可能性が考えられ、今後これらの成長因子やケモカインについて検討を加えていく予定である。
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Causes of Carryover |
年度内に研究試薬調達が間に合わず、予定額を下回った。研究試薬の調達、購入ならびに研究成果発表のための旅費、論文投稿費として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)