2016 Fiscal Year Research-status Report
新たな病原因子に着目した口腔カンジダ症発症・進行メカニズムの解明と治療法への展開
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16K11702
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
柴山 和子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60408317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00212910)
柴原 孝彦 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50178919)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | Candida albicans / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
病因真菌Candida albicansに新規に見出した細胞表層タンパクの解析を行い、本タンパクが重要な病原因子であることを示唆する結果を得てきたが、本タンパクを突破口にカンジダ症の発症進行メカニズムを菌と宿主の両面から理解することを研究目的とした。 Candida albicansの菌糸形増殖における本タンパクの役割の詳細に明らかにするため、本タンパクが誘導する菌糸形増殖シグナル経路の探索を行った。本タンパクは、Candidaの菌糸形増殖における栄養素獲得ネットワークに働く一連のタンパク群のファミリーメンバーとされている。このファミリーは固有のモチーフ配列を共通して有するが、モチーフ自体の役割はいずれのタンパクにおいても解明されていない。モチーフ部分の機能を明らかにするため、モチーフ部分のみを欠損させた株の構築を試みた。Candidaはゲノムの複雑性と染色体分離の不安定性のため組換え体構築に困難を生じているが、各種のツールを取り入れて対処している。 本タンパクはCandida albicansにおける菌糸形増殖スイッチングへの働きかけ、栄養素獲得への関与により複合的なカンジダの病原性発揮に寄与することが示唆された。ヒトと同じ真核生物であるCandida albicansを原因とする真菌症の治療には新たなアプローチが必要と考える。本研究はより特異的にカンジダ増殖を阻止し病原性の抑制への新たな試みとなることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Candida albicansの細胞表層タンパクが菌糸形増殖へのスイッチングに関与することを明らかにした。酵母形から病原性の強い菌糸形へ増殖形態を変えるシグナル経路の探索が進行中であり、本タンパクの病原性への関与を強く裏付ける基礎データを蓄積している。 本タンパクの固有モチーフ配列の欠損株構築は、従来の方法では困難を生じたため、新たな選択マーカーやPCR技術の利用を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
固有モチーフ欠損株の構築を完了し、野生株、細胞表層タンパク欠損株とともに病原性関与項目の比較を行う予定である。バイオフィルム形成量・形態・形成過程について評価を行い、モチーフ部分が担う機能を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成28年10月下旬に交付内定のため、研究課題への着手が同時期となった。効率的なサンプル調整のため冷却式細胞破砕装置の購入を初年度に予定していたが、国内在庫が無く年度内納品が困難であり、次年度の購入とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
冷却式細胞破砕装置の購入および本年度から構築を試みている欠損株の作製に必要な物品費に充てる。
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Research Products
(5 results)