2016 Fiscal Year Research-status Report
顎関節炎症におけるインフラマソームと分子プロセス研究
Project/Area Number |
16K11704
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
近藤 壽郎 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70178416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 直美 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (10152448)
伊藤 耕 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (20419758)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 顎関節滑膜細胞 / 顎関節内障 / フィブロネクチン分解産物 / モノサイト / 共培養 / IL-6 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性関節症やリウマチ患者の滑液中ではフィブロネクチン分解産物が検出され,炎症亢進に関与しているのではないかと示唆されている。また,顎関節滑膜炎では,炎症性細胞の増加が報告されている。本年度は,滑膜細胞に30 kDa, 45 kDaおよび120 kDaのフィブロネクチン分解産物を作用させ,IL-6等の遺伝子発現およびタンパク質産生を測定した。さらに,滑膜細胞とモノサイトを共培養して,IL-6等のタンパク質産生を測定した。【方法】本学倫理委員会の指針に従い,顎関節内障患者滑膜から out growth法で滑膜細胞を得た.滑膜細胞に30 kDa, 45 kDaおよび120 kDaのフィブロネクチン分解産物を作用させた。滑膜細胞とCD14+モノサイトの単独培養または共培養を行った。RNeasy Mini kitを用いてtotal RNAを抽出した。遺伝子発現量はreal time-PCR法で測定した。タンパク質量は ELISA kitで測定した。【結果および考察】30 kDa, 45 kDaおよび120 kDaのフィブロネクチン分解産物によって,滑膜細胞のIL-6およびIL-8遺伝子発現およびタンパク質産生が上昇した。フィブロネクチン分解産物のなかで,120 kDaの分解産物が最もIL-6 およびIL-8発現を上昇させた。炎症状態下で細胞外基質分解酵素産生が亢進し,フィブロネクチンが分解されると,フィブロネクチン分解産物によって炎症性サイトカイン産生が上昇し,炎症が亢進するものと示唆された。一方,滑膜細胞とモノサイトを共培養したとき,各細胞の単独培養時と比べ,IL-6およびIL-8産生は有意に上昇した。末梢血管から,モノサイトが遊走すると,滑膜細胞とモノサイト間で異種細胞間でのクロストークによって炎症性サイトカイン産生が上昇し,炎症がさらに亢進する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十数名の患者から顎関節滑膜組織を採取し,顎関節滑膜由来細胞(滑膜細胞)の分離・培養を行っており,実験に使用可能な滑膜細胞の例数は増えている.今年度は,滑膜細胞に細胞外基質のフィブロネクチンの分解産物を作用させ, IL-6等の炎症性因子の遺伝子発現やタンパク質産生が上昇することを確認している.また,IL-6産生を最も上昇させた120 kDaフィブロネクチン分解産物を選び,滑膜細胞に作用させ経時的にtotal RNAを抽出している。このtotal RNAを用いて,DNAマイクロアレイを用いた,網羅的な発現解析を進めている。また,滑膜細胞における120 kDaフィブロネクチン分解産物によるシグナリングパスウェイ解析も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
30 kDa, 45 kDaおよび120 kDaのフィブロネクチン分解産物のうち, 120 kDaのフィブロネクチン分解産物が最も滑膜細胞の炎症性サイトカイン発現を上昇させるが,30 kDaのフィブロネクチン分解産物も滑膜細胞のサイトカイン発現を上昇させる。120 kDaのフィブロネクチン分解産物のシグナルはインテグリンを介している可能性が示唆されるが,30 kDaのフィブロネクチン分解産物のシグナルを伝達するレセプターは不明である。そこで,滑膜細胞における30 kDaのフィブロネクチン分解産物のシグナルを伝達するレセプターについて検索を行う。 一方,顎関節滑膜炎では,滑膜細胞とマクロファージ等の免疫担当細胞間での相互作用も重要と考えられる。そこで,炎症性シグナル・クロストークおよび分子プロセスを明らかにする一環として,滑膜細胞とマクロファージの共培養系で遺伝子発現解析およびシグナリングパスウェイ解析を行う。 以上の実験から,滑膜炎の分子プロセスを構築するとともに,病態関連因子を標的とした治療薬の検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は,顎関節の炎症を亢進させる内在性のリガンドを検索し,内在性のリガンドを作用させた顎関節滑膜細胞のDNAマイクロアレイ解析を行うことを予定していた。しかし,内在性のリガンドの検索や,内在性のリガンドとして選んだフィブロネクチン分解産物を用いた実験条件の検討に時間がかかり,DNAマイクロアレイ解析を行ったサンプル数が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
DNAマイクロアレイ解析結果をもとに,注目した炎症性因子の遺伝子発現測定のためのreal time-PCR用試薬や,タンパク質量測定のためのELISA kit購入に使用する。また,顎関節滑膜細胞の培養器具および培地の購入に使用する。
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Research Products
(6 results)