2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノ修飾光触媒ハイブリッド微粒子を用いた口腔癌治療への応用研究
Project/Area Number |
16K11706
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
三好 代志子 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (70288075)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 展久 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (20234495)
居作 和人 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (90257296)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 口腔癌 / ナノ修飾光触媒 / ハイブリット微粒子 / 癌治療 / 抗腫瘍効果 / 抗がん剤副作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、化学結合させたハイブリット粒子(TiO2-PAA/ADM)を用いて口腔癌の治療への応用の可能性を考え、TiO2-PAA/ADMが組織への感受性を調整するモデル的効果が期待できることと今後さらに、より病変部にTiO2-PAA/ADMの特性が効果的に利用すれば新しい治療展開が開けることが明らかになって、癌治療の局所化も期待できる。これをもとに口腔悪性腫瘍に応用するに際して、実験動物などの検討を進める。 口腔癌細胞にTiO2を投与し細胞内の光を励起させると、TiO2は細胞表面に分布するものと細胞内にpinocyctosisにより取り込まれるものとあり。光照射をうけるとその部で活性酸素やフリーラジカルが発生し、細胞死が誘導される。ハイブリット粒子(TiO2-PAA/ADM)に着目し光照射すると光触媒作用によって抗がん作用に寄与する活性酸素種を生成、強い酸化反応を引き起こすことが知られており、これを応用し標的となる口腔癌部位のみで選択的に薬効を発揮させることができるドラッグデリバリーシステムに基づいた新規がん治療法を検索する。さらに、光触媒反応により、活性酸素分子種を生成する。光触媒の抗腫瘍効果は、これらの活性酸素分子種の癌細胞に与えた刺激、フリーラジカルによるいわゆる環境ストレスによるものと予想される。適度な酸化ストレスはアポトーシスを誘導するか。過度の酸化ストレスはネクローシスを誘導するかを検索し、それらのアポトーシス関連遺伝子との関連も検討する。TiO2-PAA/ADM使用量と光照射時間とともに進行している。そこで口腔癌に対し抗腫瘍効果のメカニズムを解明する。反応程度をコントロールし、以下の実験を検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔悪性腫瘍細胞の生存率とTiO2-PAA/ADM反応の相関を検索する。酸化ストレスにより活性化されたタンパク質キナーゼASK1やストレス反応性MAPKキナーゼ経路を検討する。ASK1の活性化によるアポトーシスの誘導とネクローシスの誘導の関連するJNKとp38の活性化をみて検討した。 1)ヒト口腔扁平上皮癌細胞を培養し後、TiO2-PAA/ADM投与し光照射後、トリパンブルー染色・コロニー形成法およびMTT法を用いて細胞の生死判定を検索する。光照射時間を変え、殺細胞効果について比較検討した。2)光触媒反応による酸化ストレスの刺激を受けた細胞の形態変化を位相差顕微鏡により観察し、細胞を蛍光免疫染色したものも蛍光顕微鏡で観察した。3)光触媒反応で処理された細胞について、ASK1の活性とJNK・p38の活性およびそれらに関与する細胞シグナル伝達の変動をWestern Blotting法・免疫染色・アポトーシスDNAラダーで検出した。4)光触媒反応による酸化ストレスからアポトーシス調節因子である(Bcl-2)の変動とその関連遺伝子の発現をPCR法などで検索を行った。 5)強い酸化ストレスによるネクローシスのTRAF2とRIPの検索をWestern Blotting法・免疫染色・ELISA法などで検索した。 以上まで順調に研究が行われている。 6)正常ヒト口腔領域由来細胞株への光照射によるDNA傷害からの酸化チタンによる防御作用について検討する。正常ヒト口腔細胞に紫外光・可視光を照射した後にDNAを抽出し、ピリミジンダイマーを認識する抗体を用いてELISA法にて(6-4)型ピリミジンダイマー、シクロブタン型ダイマーの2種類のピリミジンダイマーを定量する。 を加え継続して研究を随行する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年には以下の研究を検討する。 1)ヌードマウスの皮下にヒト口腔扁平上皮癌細胞を移植し腫瘍形成した後、腫瘍が0.5cmの時にTiO2-PAA/ADMを腫瘍に導入し、3日後に腫瘍に光を照射する。無処置群、TiO2-PAA/ADM単独群、光照射単独群、TiO2-PAA/ADM+光照射群についてその後の腫瘍の増殖を比較検討する。〈担当:動物実験,肉眼観察-三好〉 2)腫瘍内導入されたTiO2-PAA/ADMの分布や光照射後の腫瘍や正常組織の状態を病理組織学的に検討する。TiO2-PAA/ADMが、組織内でどのように反応変化を示すか光照射On-Offによりコントロール出来るかを試みる。さらに、TiO2-PAA/ADM光照射を受けるとその部で活性酸素やフリーラジカルが腫瘍組織内で発せすることよりフリーラジカルを経時的に測定と腫瘍との相関とを検討する。〈担当:ヒト癌細胞サンプリング-三好、分子生物実験-三好・居作〉 3) TiO2-PAA/ADMを導入し腫瘍組織内の血管新生を光照射単独群、TiO2-PAA/ADM+光照射群に分け免疫組織学的(CD31など)に比較検討する。〈担当:蛍光,免疫染色・鏡検-窪田〉 以上の研究を加えハイブリット粒子(TiO2-PAA/ADM)に着目し光照射すると光触媒作用によって抗がん作用に寄与する活性酸素種を生成、強い酸化反応を引き起こすことが知られており、これを応用し標的となる口腔癌部位のみで選択的に薬効を発揮させることができるドラッグデリバリーシステムに基づいた新規がん治療法を検索する。
|
Causes of Carryover |
平成28年の研究は1)~5)を継続している。さらに、6)正常ヒト口腔領域由来細胞株への光照射によるDNA傷害からの酸化チタンによる防御作用について検討する。正常ヒト口腔細胞に紫外光・可視光を照射した後にDNAを抽出し、ピリミジンダイマーを認識する抗体を用いてELISA法にて(6-4)型ピリミジンダイマー、シクロブタン型ダイマーの2種類のピリミジンダイマーを定量する。〈担当:分子生物実験-三好・居作〉を加え研究を行うからである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
6)正常ヒト口腔領域由来細胞株への光照射によるDNA傷害からの酸化チタンによる防御作用について検討する。正常ヒト口腔細胞に紫外光・可視光を照射した後にDNAを抽出し、ピリミジンダイマーを認識する抗体を用いてELISA法にて(6-4)型ピリミジンダイマー、シクロブタン型ダイマーの2種類のピリミジンダイマーを定量する。〈担当:分子生物実験-三好・居作〉を加え研究を引き行う。
|
Research Products
(1 results)