2016 Fiscal Year Research-status Report
血小板凝集因子ポドプラニンの機能制御による口腔癌の遠隔転移抑制
Project/Area Number |
16K11709
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
山近 重生 鶴見大学, 歯学部, 講師 (60182565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳山 麗子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20380090)
寺田 知加 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (40460216)
田所 晋 鶴見大学, 歯学部, 臨床助手 (70552412)
里村 一人 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80243715)
舘原 誠晃 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90380089)
今村 武浩 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (40771754)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポドプラニン / 血小板凝集 / anoikis |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞は細胞同士や細胞外基質と接着し、さまざまなシグナルを交換しながら生存、増殖、機能しており、接着が消失した浮遊状態では増殖できず、細胞死が誘導される。このようにして誘導される細胞死はanoikisと呼ばれている。一方、癌細胞は原発巣から遊離した後も生存し、増殖を繰り返しながら血管やリンパ管に進入、血流やリンパ流を経由して他部位に到達、定着し、転移巣を形成する。血液中やリンパ液中に存在している癌細胞は浮遊状態においても細胞死に陥らず生存することから、癌の転移には、癌細胞が細胞同士や細胞外基質との接着性を失った後も生存を維持できるためのanoikis回避機構が重要な役割を果たしていると考えられている。本研究は、癌の転移に重要な役割を演じていると考えられる細胞生物学的現象であるanoikisと、高転移性の腫瘍細胞に高発現が認められ、血小板凝集作用を有するポドプラニンとの関係に着目することにより、口腔癌転移のメカニズムの一端を解明するとともに、ポドプラニンを標的とした転移制御法確立の可能性を探ることを目的とする。 初年度には、当講座保有の口腔扁平上皮癌細胞株5種類について、各細胞株におけるポドプラニン発現量の差を確認するとともに、ポドプラニン発現量と血小板凝集性との相関を検討している。現在までにヒト舌癌由来細胞株(HSC-3、4、SAS)、ヒト歯肉癌由来細胞株(Ca9-22)の細胞培養を行い、各種細胞について半定量PCR法を用いてポドプラニンの発現量を確認したが、各細胞株間で各増殖期における発現量に差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の計画としての口腔扁平上皮癌細胞株5種類について、各細胞株におけるポドプラニン発現量の差の確認およびポドプラニン発現量と血小板凝集性との相関の検討については、各検討の条件および結果が揃いつつある。しかしながら、検討にあたり保有していた各癌細胞株が保存状態や保存期間によってその性質に差を認めたため、細胞培養およびその性質の確認のために時間が費やされた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ヒト口腔癌細胞株におけるポドプラニンの遺伝子発現およびタンパク質発現につきquantitative RT-PCR法およびウェスタンブロット法を用いて確認し、各細胞株間で発現に差があるかどうかを確認する。初年度で細胞培養の準備は整っているため、各検討はすぐに着手できる状態である。また、次の検討にあたる血小板性凝集性に関する検討およびsiRNAを用いたポドプラニン発現抑制細胞株の樹立の試みは並行して行う予定である。
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Causes of Carryover |
細胞培養およびその品質の確認に時間がかかったため、今年度は各細胞間においてポドプラニン発現量の確認まで行った。そのため、当初予定されていた血小板凝集性や細胞株樹立のための物品費などは次年度での施行となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の検討においては各細胞間においてポドプラニン発現量に差が認められないことが確認されたため、今後各細胞間において血小板凝集性に差があるかどうかの検討に入る。同時にsiRNAを用いたポドプラニン発現抑制細胞株の樹立を試みる。血小板凝集性に関する検討や抑制細胞株樹立のため、物品費等での使用を予定している。
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